ダン・ブラウン 『天使と悪魔』
天使と悪魔 (上) (角川文庫)/ダン・ブラウン

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天使と悪魔 (中) (角川文庫)/ダン・ブラウン

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天使と悪魔 (下) (角川文庫)/ダン・ブラウン

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ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。紋章は男の死体の胸に焼印として押されていたのだという。殺された男は、最近極秘のうちに大量反物質の生成に成功した科学者だった。反物質はすでに殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持込まれていた―。(Amazonより)
言わずと知れた<ラングドン・シリーズ>の第一作。(ちなみに『ダ・ヴィンチ・コード』は二作目)
日本でブームを巻き起こしていたころは読む気になれなかったけど、そろそろほとぼりも冷めただろうということで一作目から読んでみた。
物語は、主人公ロバート・ラングドン教授の元にかかってきた電話から始まる。
ざっくり言うと、有名な科学研究所の社員が殺されて体にイルミナティの紋章を刻印されていたからイルミナティに詳しいラングドンに助力になってもらいたいというもの。
しぶしぶ研究所に行ってみると、それは確かにイルミナティの紋章。
この正確な左右対称の紋章を作れるのは本物だけ、というわけだ。
殺された研究者は反物質という人類の歴史に残る研究を成功させており、犯人はその成果というかサンプルを盗み出すために彼を殺したらしい。
そのサンプルは、BB弾程度の大きさながら、核兵器以上の規模で爆発を起こす大変な代物だった。
そんな反物質の行方は、どうやらヴァチカン。
おりしもコンクラーベ(次期教皇を選出する儀式)の時期であり、反キリスト組織であるイルミナティはそこでキリスト教の中心を聖職者もろとも吹き飛ばそうという算段である。
殺された研究者の娘であるヴィットリアと共にヴァチカンに赴いたラングドンは、どうにかして反物質を探し当てようと奮闘するも、イルミナティは四人のプレフェリーティ(次期教皇有力候補)である枢機卿たちを拉致し、生贄として捧げる宣言をし始めたのでそれも阻止しなければならない。
というわけで、ヴァチカンをあちらこちら右往左往しながら殺害場所を特定して枢機卿たちを助けつつ暗殺者を探し出し、反物質がタイムリミットになる前に見つけ出さなければならない六時間が幕を開けたのだった。
物語のテーマは、科学と宗教の対立。
どちらも「相手のせいで啓蒙を阻害されてきた」と思っており、その歴史は深く、遺恨も根深い。
科学というのは使い方によっては物理的な危険を伴うものだけど、宗教は人心に対して呪いのように作用するという意味で非常に厄介だ。
単純にどちらが正しい間違ってると言えるものではないにせよ、双方、相手に歩み寄る気がなさすぎじゃない?と感じずにはいられない。
特に、無宗教が多い日本人にとっては、精神論でグイグイくる宗教側はより厄介に見えてしまう。(という感想はフェアじゃないかもしれないが)
小説としては、まさにジェットコースターサスペンス。
良くも悪くも映像的で、小説としての深みのようなものは期待しないほうがいい。
その代わり、映画を見るようにズイズイ読めるので、翻訳モノが苦手な人にもおススメです。
ちょっと物語に緩急がなさすぎて、ずーっとジェットコースターに乗ってるような気分になってきて疲れるきらいはあるけども。
主人公ラングドンは上巻こそ空気だったものの、中巻からは八面六臂の大活躍。
下巻では『ダイ・ハード』かよとツッコミたくなるほどスペクタクルで、常人ならば四~五回は死んでるでしょうね。
しかし犯人、神だ啓示だと言っちゃあいるけど、結局は自分に都合の悪いことは耳をふさいで聞こうともせず(なのに自分の主張はみんなに理解してもらえると思ってる)、そのせいで重大な勘違いをしでかしたことにさえ気付けずに暴走しただけの犯罪者でしかない。だから宗教は厄介だというんだ。
ちょっと奇跡的な出来事に遭遇してしまうと、自分が神に選ばれたかのように思い込んでしまい、それは心の奥底に深く根付いて消えようとしない。
どんな現実的な事象も、啓示という呪いにかけられた人間の前では邪悪な異教でしかないのだ。
その挙句、犯罪さえも神の示された道であると勝手な解釈をし、暴走する。
それを神のせいにされたところで、神様だってお困りのことだろう。
というのはあくまでこの物語の感想ですが、まぁ科学も宗教も一筋縄ではいかないものなのでしょうね。
上中下と三巻に分かれてはいるものの、あっというまに読めるので暇潰しには最適。
でもこの一作で早くも作風に飽き気味なんだけど、せめて『ダ・ヴィンチ・コード』までは読むべきだろうか。
天使と悪魔 (上) (角川文庫)/ダン・ブラウン

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ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスの科学研究所長から電話を受け、ある紋章についての説明を求められる。それは十七世紀にガリレオが創設した科学者たちの秘密結社“イルミナティ”の伝説の紋章だった。紋章は男の死体の胸に焼印として押されていたのだという。殺された男は、最近極秘のうちに大量反物質の生成に成功した科学者だった。反物質はすでに殺人者に盗まれ、密かにヴァチカンに持込まれていた―。(Amazonより)
言わずと知れた<ラングドン・シリーズ>の第一作。(ちなみに『ダ・ヴィンチ・コード』は二作目)
日本でブームを巻き起こしていたころは読む気になれなかったけど、そろそろほとぼりも冷めただろうということで一作目から読んでみた。
物語は、主人公ロバート・ラングドン教授の元にかかってきた電話から始まる。
ざっくり言うと、有名な科学研究所の社員が殺されて体にイルミナティの紋章を刻印されていたからイルミナティに詳しいラングドンに助力になってもらいたいというもの。
しぶしぶ研究所に行ってみると、それは確かにイルミナティの紋章。
この正確な左右対称の紋章を作れるのは本物だけ、というわけだ。
殺された研究者は反物質という人類の歴史に残る研究を成功させており、犯人はその成果というかサンプルを盗み出すために彼を殺したらしい。
そのサンプルは、BB弾程度の大きさながら、核兵器以上の規模で爆発を起こす大変な代物だった。
そんな反物質の行方は、どうやらヴァチカン。
おりしもコンクラーベ(次期教皇を選出する儀式)の時期であり、反キリスト組織であるイルミナティはそこでキリスト教の中心を聖職者もろとも吹き飛ばそうという算段である。
殺された研究者の娘であるヴィットリアと共にヴァチカンに赴いたラングドンは、どうにかして反物質を探し当てようと奮闘するも、イルミナティは四人のプレフェリーティ(次期教皇有力候補)である枢機卿たちを拉致し、生贄として捧げる宣言をし始めたのでそれも阻止しなければならない。
というわけで、ヴァチカンをあちらこちら右往左往しながら殺害場所を特定して枢機卿たちを助けつつ暗殺者を探し出し、反物質がタイムリミットになる前に見つけ出さなければならない六時間が幕を開けたのだった。
物語のテーマは、科学と宗教の対立。
どちらも「相手のせいで啓蒙を阻害されてきた」と思っており、その歴史は深く、遺恨も根深い。
科学というのは使い方によっては物理的な危険を伴うものだけど、宗教は人心に対して呪いのように作用するという意味で非常に厄介だ。
単純にどちらが正しい間違ってると言えるものではないにせよ、双方、相手に歩み寄る気がなさすぎじゃない?と感じずにはいられない。
特に、無宗教が多い日本人にとっては、精神論でグイグイくる宗教側はより厄介に見えてしまう。(という感想はフェアじゃないかもしれないが)
小説としては、まさにジェットコースターサスペンス。
良くも悪くも映像的で、小説としての深みのようなものは期待しないほうがいい。
その代わり、映画を見るようにズイズイ読めるので、翻訳モノが苦手な人にもおススメです。
ちょっと物語に緩急がなさすぎて、ずーっとジェットコースターに乗ってるような気分になってきて疲れるきらいはあるけども。
主人公ラングドンは上巻こそ空気だったものの、中巻からは八面六臂の大活躍。
下巻では『ダイ・ハード』かよとツッコミたくなるほどスペクタクルで、常人ならば四~五回は死んでるでしょうね。
しかし犯人、神だ啓示だと言っちゃあいるけど、結局は自分に都合の悪いことは耳をふさいで聞こうともせず(なのに自分の主張はみんなに理解してもらえると思ってる)、そのせいで重大な勘違いをしでかしたことにさえ気付けずに暴走しただけの犯罪者でしかない。だから宗教は厄介だというんだ。
ちょっと奇跡的な出来事に遭遇してしまうと、自分が神に選ばれたかのように思い込んでしまい、それは心の奥底に深く根付いて消えようとしない。
どんな現実的な事象も、啓示という呪いにかけられた人間の前では邪悪な異教でしかないのだ。
その挙句、犯罪さえも神の示された道であると勝手な解釈をし、暴走する。
それを神のせいにされたところで、神様だってお困りのことだろう。
というのはあくまでこの物語の感想ですが、まぁ科学も宗教も一筋縄ではいかないものなのでしょうね。
上中下と三巻に分かれてはいるものの、あっというまに読めるので暇潰しには最適。
でもこの一作で早くも作風に飽き気味なんだけど、せめて『ダ・ヴィンチ・コード』までは読むべきだろうか。