久しぶりの読書更新。


読んでる途中であの発表があり、しばし中断していた本をようやく読み終えました。




皆川博子 『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』


開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ .../皆川 博子

¥972
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18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が…解剖学が最先端であり偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、本格ミステリ大賞受賞作。前日譚を描いた短篇を併録。(Amazonより)




ベテランミステリー作家、皆川博子が再び(若い層にまで)支持されるきっかけともなった作品。


18世紀イギリスの解剖学という珍しい分野を題材に、ミステリ的な仕掛けも施した傑作。



外科医のダニエル先生と、個性的な弟子たち。
盲目ながらも優秀な判事と、その目となる姪。


そして若き詩人の辿る運命。


さすがのストーリーテラーっぷりとサプライズ。


ほろ苦い結末まで含めて、実に素晴らしかったです。




個人的な心境としては、ダニエル先生の悔恨が痛いほど伝わってきて切ない。


本当に大事なものは、いつも失ってから気付く。





皆川作品のなかでも読みやすいので、おすすめです。