ここ最近読んだ「それなりに面白かった本」を五冊ずつ紹介していくこのコーナー。


張り切って参りましょう。





まずは恩田陸の長編。


雪月花黙示録 (単行本)/恩田 陸

¥1,728
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なにやら雅で不穏なタイトルだけど、中身はパラレルワールドの日本を舞台にした狂騒的な活劇小説。


恩田陸版ラノベなどと言われたりもしてますが、どちらかといえば一昔前の少女漫画(恋愛モノじゃないやつ)っぽいかなと。


アニメかドラマにしたらすごく映えそうなガジェットが満載。キャラも立ってる。
この終わり方は著者にしては珍しい感じ。


全体的に、嫌いじゃないけどもっと長くてもよかった。





続いても恩田陸。こちらは短編集。


私と踊って (新潮文庫)/恩田 陸

¥680
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短編集というより、長編の断片や、誰かの記憶の断片を集積したような作品集。


面白いけど、短編集としては『図書室の海』(第一短編集)には及ばず。






堕ちたる者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)/タニス・リー

¥1,188
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《パラディスの秘録》シリーズの一冊。


シリーズといっても話が繋がってるわけではなく、パラディスという架空のヨーロッパの都市を舞台にした作品であるというだけなのでご安心を。


本作は90年代に邦訳されたものの再刊で、今は亡き名訳者、浅羽莢子さんの流麗かつ耽美な素晴らしい翻訳が堪能できる代物です。


中編が三つ収められている本作は、中身が濃密すぎて最初の二編を読んだだけでお腹いっぱいになってしまい、最後の話をちゃんと読めなかった気がするので後々再読したい。


特に二編目の「黄の殺意」が傑作。







聖女の島 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)/皆川 博子

¥840
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かつての名作を復刊しようという講談社ノベルスの企画で数年前に再刊された一冊。


最近ハマってる皆川氏の本ということで期待して読んだんだけど……うん、まぁ普通。


とある島の更生施設に集められた不良少女たちの幻想ミステリを想像したものの、中身はひたすら空回りして愚痴と自己弁護に遁走する園長先生の独白本といった感じでした。


数々の傑作を書いてる皆川氏の本で、なぜこれを再刊しようと思ったのか……。


あとこの表紙絵はどうかと思いました。






風の歌、星の口笛 (角川文庫 む 10-1)/村崎 友

¥637
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第24回 横溝正史賞受賞作のSFミステリ。


異星っぽい街と、地球っぽい街と、人間が滅んだあとっぽい異星の三つの場面が交互に語られて、徐々に真相が明らかになっていく作り。


SF的にもミステリ的にもツッコミ出したらキリがないほど緩い。
しかしどこか憎めない愛嬌のようなものがあって、まぁいいか、という感じでそれなりに楽しめました。


一種のおとぎ話だと思って読めばいいよ。








そんな感じの五冊。