スタニスワフ・レム 『ソラリス』
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)/スタニスワフ レム

¥2,592
Amazon.co.jp
惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶に翻弄されていく。人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。そこには何らかの目的が存在するのだろうか。コンタクト―地球外の知性体との遭遇について描かれた、最も哲学的かつ科学的な小説。広大無辺な宇宙空間において、理解不能な事象と愛の記憶に直面し、人は何をすべきか。タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳版。(Amazonより)
言わずと知れたオールタイムベスト上位常連の名作SF、その新訳版である。
元々は『ソラリスの陽のもとに』というタイトルでハヤカワ文庫から出ていたわけだが、そちらはロシア語からの重訳で、削除箇所などがいくつかあった。
本作はポーランド語からの完訳版。
舞台となるのはソラリスという名の惑星。
惑星のほぼ全域が海に覆われており、その海は「生きている」ということがわかった。
生きている海を解明すべく、天才から凡人まで様々な学者や大衆が様々な説を唱えるが、一向に正解は導き出されないまま、やがて人々の興味も尽きてきたその頃、ソラリスの海上にあるステーションへとやってきたのが主人公のケルヴィン。
ケルヴィンがステーションに着いてみると、先にいた3名の様子がおかしい。何か重大な異変が起こったようだが、誰も明確な説明はしてくれなかった。
そしてステーション内で謎の黒人女を目撃したケルヴィンの元にも、その“お客さん”はやって来た。かつて自殺した恋人の姿をとって……。
本作は何度か映画化され、そこで描かれたような地球外に於ける異質な恋愛物語と捉えることもできなくはないが、レム(作者)が映画に対して批判しているように、実際に読んで受ける印象はまったく違う。
ソラリスという、人類にとってあまりにも未知である存在について、ああでもないこうでもないと思索を巡らせる本なのだった。
作中で展開される古今東西のソラリス学は、未知の対象について語っていながら、逆説的に人間の本質を吐露しているようでもあって興味深い。
どうやらレムは人間中心主義や人間形態主義へ懐疑的な意見を持っているようで、そもそも本書のテーマとなっている「未知とのコンタクト」でさえ、ほぼ成されずに終わる。というかその「広い宇宙には人間にとって1ミリも理解できないことがある」という主張こそが、レムの描きたいテーマなのだろうなと思う。
この作品の中で明確な“答え”のようなものは導き出されないので、解釈としても人によって様々だろう。作中で様々なソラリス学が語られたのと同じように。
なので、本書を何度も読むのも面白いと思うが、本書について書かれた評論や批評を読むのもまた面白いと思う。
単純な結論は言えないにせよ、語り切れない未知、というテーマはSF読みにとって至上の命題であるからして。
作者はとにかく頭の良い人で、本国では賢人として有名だったらしい。
もちろんSF作家としても有名で、世界最高のSF作家とまで言われるほど。
そんな人が書いた、哲学書とも読めるSF小説。
一度は読んでみる価値アリですよ。
ちなみに自分が読んだのは↑の国書刊行会版の単行本だけど、つい最近ハヤカワ文庫でこの国書版が文庫化されたので、今から読む方はこちらをどうぞ。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF)/スタニスワフ・レム

¥1,080
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単行本買った途端にまさかの文庫化という悲劇orz
まさか国書の本が文庫化されるとは思わなかったよね……。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)/スタニスワフ レム

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惑星ソラリスを探査中のステーションで異変が発生した。謎の解明のために送りこまれた心理学者ケルヴィンの目の前に自殺した恋人ハリーが姿を現し、彼はやがて悪夢のような現実と甘やかな追憶に翻弄されていく。人間とはまるで異質な知性体であるソラリス。そこには何らかの目的が存在するのだろうか。コンタクト―地球外の知性体との遭遇について描かれた、最も哲学的かつ科学的な小説。広大無辺な宇宙空間において、理解不能な事象と愛の記憶に直面し、人は何をすべきか。タルコフスキーとソダーバーグによって映画化された新世紀の古典、ポーランド語原典からの新訳版。(Amazonより)
言わずと知れたオールタイムベスト上位常連の名作SF、その新訳版である。
元々は『ソラリスの陽のもとに』というタイトルでハヤカワ文庫から出ていたわけだが、そちらはロシア語からの重訳で、削除箇所などがいくつかあった。
本作はポーランド語からの完訳版。
舞台となるのはソラリスという名の惑星。
惑星のほぼ全域が海に覆われており、その海は「生きている」ということがわかった。
生きている海を解明すべく、天才から凡人まで様々な学者や大衆が様々な説を唱えるが、一向に正解は導き出されないまま、やがて人々の興味も尽きてきたその頃、ソラリスの海上にあるステーションへとやってきたのが主人公のケルヴィン。
ケルヴィンがステーションに着いてみると、先にいた3名の様子がおかしい。何か重大な異変が起こったようだが、誰も明確な説明はしてくれなかった。
そしてステーション内で謎の黒人女を目撃したケルヴィンの元にも、その“お客さん”はやって来た。かつて自殺した恋人の姿をとって……。
本作は何度か映画化され、そこで描かれたような地球外に於ける異質な恋愛物語と捉えることもできなくはないが、レム(作者)が映画に対して批判しているように、実際に読んで受ける印象はまったく違う。
ソラリスという、人類にとってあまりにも未知である存在について、ああでもないこうでもないと思索を巡らせる本なのだった。
作中で展開される古今東西のソラリス学は、未知の対象について語っていながら、逆説的に人間の本質を吐露しているようでもあって興味深い。
どうやらレムは人間中心主義や人間形態主義へ懐疑的な意見を持っているようで、そもそも本書のテーマとなっている「未知とのコンタクト」でさえ、ほぼ成されずに終わる。というかその「広い宇宙には人間にとって1ミリも理解できないことがある」という主張こそが、レムの描きたいテーマなのだろうなと思う。
この作品の中で明確な“答え”のようなものは導き出されないので、解釈としても人によって様々だろう。作中で様々なソラリス学が語られたのと同じように。
なので、本書を何度も読むのも面白いと思うが、本書について書かれた評論や批評を読むのもまた面白いと思う。
単純な結論は言えないにせよ、語り切れない未知、というテーマはSF読みにとって至上の命題であるからして。
作者はとにかく頭の良い人で、本国では賢人として有名だったらしい。
もちろんSF作家としても有名で、世界最高のSF作家とまで言われるほど。
そんな人が書いた、哲学書とも読めるSF小説。
一度は読んでみる価値アリですよ。
ちなみに自分が読んだのは↑の国書刊行会版の単行本だけど、つい最近ハヤカワ文庫でこの国書版が文庫化されたので、今から読む方はこちらをどうぞ。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF)/スタニスワフ・レム

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単行本買った途端にまさかの文庫化という悲劇orz
まさか国書の本が文庫化されるとは思わなかったよね……。