突然ですが、去年2014年に読んだ本(小説)の個人的ベスト10を発表したいと思います。


“2014年に発売された本”ではなく、あくまで“2014年に自分が読んだ本”です。


買ってすぐ読むということをしないので、9割が2014年以前の作品になることをご了承あれ。





第1位

ブラックライダー/東山 彰良

¥2,808
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世紀の大傑作。一度文明が滅んだあとの世界で繰り広げられる西部劇と、『風の谷のナウシカ(漫画版)』を彷彿とさせる人類の未来が啓示される。
個人的には大好きだけど、文体もクセがあり、好みは分かれる様子。
書店でペラペラめくってみて、合いそうだったらどうぞ。





第2位

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)/上田 早夕里

¥799
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華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)/上田 早夕里

¥799
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こちらも文明が滅んだ(滅びかけた)あとの世界が舞台で、『ブラックライダー』よりSF色は強い。
人類はわずかばかり残った地上に住む陸上民と、海に適応した海上民とに分かれていた。
陸上民の調整官的立場にある主人公が奮闘するお仕事小説でもあり、滅びゆく地球でなんとか生き延びようとする人類の戦いの記録でもある。
続編の『深紅の碑文』も出てます。





第3位

バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)/津原 泰水

¥713
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説明が難しいけど、三部に分かれた構成で、一部は不条理な幻想小説、二部はその続き、三部に至って津原流サイバーパンクとも言うべき驚愕の展開を見せる。
文章力に定評のある著者渾身のSFで、とにかく「凄いものを読んだ」という感慨。





第4位

ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)/恩田 陸

¥514
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ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)/恩田 陸

¥494
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恩田陸による時間SF。SFばっかりだなw
「シンデレラの靴」と呼ばれる装置で過去に戻り、史実通りに歴史を“修正”することになった人類。最後のポイントは日本の二・二六事件だった。
もう最初から最後までとにかく面白い。上下巻一気に読んでしまいました。
ラストがちょっとモヤっとするのはご愛嬌。





第5位

マアジナル (角川文庫)/田口 ランディ

¥821
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なんとも不思議な物語。
中学生の男女6人がUFOを呼び、1人が姿を消した。その17年後、残された5人の人生が再び交錯していく。
オカルトなのか違うのか。SFなのかミステリなのか、あるいはフィクションなのかノンフィクションなのか、そんな境界(マアジナル)すら曖昧な読み心地で、一読の価値はある。なぜか懐かしさも感じたな。





第6位

七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)/ジョージ・R・R・マーティン

¥1,404
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七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1)/ジョージ・R・R・マーティン

¥1,404
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大人気作家ジョージ・R・R・マーティンの世界的人気を誇る大河ファンタジー開幕編。
ドラマ化もされてるけど、とにかく重厚で登場人物も多く、みんなバンバン死んでいくリアルな戦国絵巻である。
第一部はまだほんのプロローグだけど、めちゃくちゃ長いから時間のあるときにどうぞ。
ちなみに現在、原書も邦訳も第五部まで出てます。次は果たしていつになるのやら。





第7位

連環宇宙 (創元SF文庫)/ロバート・チャールズ・ウィルスン

¥1,382
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『時間封鎖』『無限記憶』に続く、三部作の完結編。
時間の流れを変える《スピン》と呼ばれる膜で地球を覆ったのち、遠い惑星へ通じる《ゲート》を置き土産にどこかに消えた仮定体の正体に迫る。
語り口が上手く、未来からの手記と、その未来との2パートに分かれて進む物語が素晴らしい。
最終的には驚愕のSF的展開を見せ、三部作の完結編としてこれ以上ない締めくくりでした。
三部作を未読の方は、とりあえず第一部の『時間封鎖』から。





第8位

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)/パオロ バチガルピ

¥1,058
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これからのSF界を担う新星として期待が高いバチガルピの短編集。
長編『ねじまき少女』と世界観を同じくする「カロリーマン」「イエローカードマン」も良いが、ベストは表題作の「第六ポンプ」。
基本的にポストアポカリプス的な、ディストピアっぽい世界観が下敷きになってるので話は暗いものが多いけど、環境問題なども照らし合わせて、現代のSFとして素晴らしい出来になっている。





第9位

スキュラ&カリュブディス: 死の口吻 (新潮文庫)/相沢 沙呼

¥724
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ようやく2014年に出版された本がランクイン。(去年が不作だったわけではなく、自分が読んでないだけです)
百合とエログロとミステリとホラーが絶妙な配分でブレンドされた傑作。
言わば現代の怪物譚なんだけど、とにかく百合です。やり過ぎない、でも耽美で美しい百合がステキでした。続編待ってます。





第10位

有限と微小のパン (講談社文庫)/森 博嗣

¥1,274
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ドラマ化でも話題の『すべてがFになる』から始まる《S&Mシリーズ》の完結編。
このシリーズ……というかこの著者はあまりに好きすぎるので順位とか本当は関係ないんだけど、ランクインさせないのも忍びないので10位に。
もはや言葉は必要ない。ただただ犀川先生と真賀田博士にひれ伏したい。







そして番外編。


こちらは傑作だけどシリーズの途中ということで、番外編にしました。(6位のマーティンもシリーズ途中だけど、続きがいつ出るかわからないのでまぁいいかということで)



天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)/小川 一水

¥950
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全10作(10冊ではない)完結予定の大河SFシリーズ《天冥の標》の第三巻。
宇宙を舞台に繰り広げられるスペースオペラと、木星の大赤斑から見つかった謎の古代遺跡が楽しい。シリーズ全体の構図もちょっと見えてきた。
ちなみに現在、第八巻(全2冊)まで出てます。先は長い。






全滅領域 (サザーン・リーチ1)/ジェフ・ヴァンダミア

¥886
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2014年後半に出たばかりの本。珍しくすぐ読んだ。
謎の領域《エリアX》を調査する4人の女性。謎だらけのこの領域で、常識ではあり得ない体験をする生物学者の手記が綴られる。
三部作の一作目なので謎は積み残してあるけど、第二部『監視機構』はすでに出てて、完結編の第三部『世界受容』は今月末に出る予定。
早く二部読まなきゃ。








といった感じ。


順位はあってないようなものですが、読書の参考にでもしてみてください。




しかし全体的にSFが多いね。
昔はミステリばっかり読んでたんだけど、今はSFのほうが多いかも。


そのうち平均的な配分に戻るでしょう。




1年通して思ったより冊数読めてなかったので、今年はもっと読みたいところです。