今日は、とある地方都市に足を運んだ。



とある地方都市は、夏休みを満喫する十代二十代の若者で賑わっており、人込みが苦手なわたくしは、何も悪いことなどしていないのに、万引きGメンから競歩で逃げる犯人のような有様でスタスタと歩いて目的地まで急いだ。



目的地その1である本屋に立ち寄り、買いもしないのに、店内の本を2時間ほど物色して、「けっ、なにもなかったぜ」という顔をつくって、本屋から出た。



目的地その2である梅干屋に向かうために、またしても無用な罪悪感を背負いながら、幻の万引きGメンから逃げるように、競歩のオリンピックの最中のような勢いでスタスタと歩いた。



誰にも捕まることなく、無事に梅干屋に到着すると、先客がいらっしゃった。

わたくしは梅干を食べると死んでしまう予定なので、梅干は食べない。

お使いで来たので、迷うことなく目当ての梅干をゲットして、意気揚々とレジに向かった。



しかしその梅干屋は、狭い店で(デパートの一部である)、店員さんも一人しかいないので、さきほどの先客様のお会計にやたらと時間がかかっていて困った。



一人梅干屋の前で、梅干を手に持ちながら、にもかかわらず手持ち無沙汰な様子で佇んでレジを待っている自分がなんだか哀れに思えてきて、こんなことならさっき幻の万引きGメンに捕まってしまえばよかったと後悔を3回くらい重ねていたら、ようやくわたくしの番が訪れ、何事も無くお会計を済ませられたので、やっぱりさっきの幻の万引きGメンに捕まらなくてよかったと安堵して車に戻り、家路に着いた。



そんな普通の日だった。