遅ればせながら、「俺のフレンチイタリアン」に初トライしてきました。



正直、開店当時から個人的にはあまりいい印象のないお店です。

大手資本によるフレンチの大幅な価格破壊。
原価ぎりぎりですこしでも安くいいものをと頑張る個人店には、到底実現できない価格で提供されている高級食材。
直接的にも間接的にも、苦しめられたお店は☆の数ほどあるんじゃないですかね。

どの業界もそうだけど、資本主義ってほんと残酷です。

とはいえ、一度は行ってみないと評価もできないし。
予約とれるんなら行ってみようかな~

と思ってみてみたら、普通に12時ランチの予約とれました。
わずか3日前。
あらま、さすがにブームは去ったのかな?ぐらいの感じで伺ったわけです。

で。
まあ実際どうだったかと言うと。
はい。やっぱり確実に、業界の敵でしたねw



お料理:一般的に「美味しい」と言えるレベル。ちゃんとフレンチ。
プレゼン:わかりやすくオシャレ。
サーヴィス:親しみやすいけど品があって感じが良い。気も利く。
店内:満席の店内は、やっぱり雰囲気よし。オシャレ感もあり。
席:立ち食いフレンチなんて…って思ってたけど、予約すればちゃんと着席で食べれるじゃん!
予算:え、やすっ!!



もちろん、基本は一皿をみんなで取り分ける居酒屋スタイルだし、高級感とかないですけど。
堅苦しい顔したソムリエくんが偉そうにワインを注いでくる高級店より、一般の方はずっとお料理やワインの味に集中できるし、会話や雰囲気を楽しめるんじゃないですかね。



とにかく、一緒に行く人を選ばない。これは意外と重要です。
これで予約も楽に取れるとなれば、いわゆる「使い勝手がいい」ってやつです。

かくいう私も、20年来の同期仲間と行ったんですが、
いやー楽しかった楽しかった(笑)
しかもお手頃価格だしね。



こういう店がフランス料理店だと思ってしまったら、ふつーのこじんまりしたフレンチなんて割高に感じられて当然ですよね。
フォアグラもオマールも出てこないのに、倍近い値段取られたりするんですから。

たとえ、絶対に真似できない職人の細かな食材へのこだわりや手仕事があったとしても、
そこに気づいて、価値を認めて、喜んでお金を払ってくれる客層がどれだけいるんでしょうか。


「うまくて安いものは存在しない。」

とは、辻静夫さんの言葉だそうです。
本当にそうだと思います。

少なくともフランスには、まだそういう価値観というか、食や職人の仕事に対するリスペクトが残っている気がします。
彼らと話していて、「美味しいけど高いよね」というと、「だって美味しいんだから、高いでしょ」と返されることは結構あります。

でも日本には、この常識が一切通用しなくなりましたね。
安くて美味しいが当たり前。

高くて美味しいじゃ物足りない。
安くて美味しくないも受け付けない。

いやね。資本主義ですから、当然なんですよ。仕方ないですよ。
大手が残り、個人は淘汰されていく。
スーパーができて商店街がなくなっちゃったのと同じです。


うーん。
なんか寂しいなあ。

これからは少しずつ、人と人の結びつきが見直されて、
個人店のよさが再認識されるようになると信じたいですね。


私も、そのために自分ができることを、もっともっと探していかなくては。