Pour la Table Douce ~ワインのある食卓~

「そして父になる」を読みました。
映画のノベライズなので、小説としてはむしろ薄っぺらく、あっという間に読めます。


でも、テーマは重い。


ありがちな、でも対照的な二つの家族。

完全に自分に置き換えられるわけではないけれど、どちらのタイプもなんか身近にいる気がする。


都心の高級マンションに住む一家は、

イケメンで仕事命のエリートの父と、気が弱くて従順な母。

難関お受験にも勝ち残る、聞き分けがよく大人しい息子。


田舎で小さな商店を細々と経営する一家は、

仕事は二の次でうだつの上がらない賑やかな父と、しっかり者で若く美しい母。

好き放題で騒がしいが、明るく活気のある3人の子供たち。


それぞれ子供に対する考え方や接し方は違うけれど、根本的な愛情は変わらない。

変わらないから、みんな苦しむ。

大人も、そして子供も。


血縁とは何か。

親子とは何か。

家族とは何か。


血を分けた子。

母親にとっては、9ヶ月間、自分のお腹の中で育て、命をかけて産み落とした我が子。

たとえ離れていても、忘れられるわけがない。


たとえ血がつながっていなくても、

自分が育て、この子のためなら命も惜しくないと愛情を注いできたのも我が子。

他人だからと、切り捨てられるわけがない。



親として、自分自身も人の子として、大切なものは何なのか。

人生の価値はどこにあるのか。

男の人と女の人では、かなり見方が変わってくるような気もするし。


深く深く考えさせられるけど、

結局、答えは自分の中にしかないんだと、諭されるような内容でした。



映画は、たぶん観に行きません。

本の中で描かれていた気持ちの移り変わりが、どんなセリフとシーンで描かれているのかは興味がありますが、

涙腺が崩壊して、人前に出ることなんてできないと思うので。


本読んだだけで、声を出すほど泣きましたから。

体力のあるときに、ひとりビデオで鑑賞したいと思います。