Pour la Table Douce ~ワインのある食卓~

ずっと読みたいと思いながら、

読み出したら時間がかかりそうだなと思ってなかなかとっかかれなかった本です。


読み終わってみて、なんでもっと早く読まなかったんだろうと激しく後悔しました。


この本が書かれたのは今から12年ほど前。

私がフランスから帰国し、本格的にワインを勉強し始めた時期と重なります。


あの頃からずっとぼんやりと疑問を持ち続けていた「テロワール」という概念について、

「作り手」と「自然」と「技術」とのかかわりについて、

こんなにはっきりとした答えが、この本の中に書かれていたなんて。


答えというより、「こうじゃないのかな」「これはこういう意味なんじゃないかな」と漠然と思っていたことが、

きちんと理論だてられた論文として目の前に現れたという感じ。


それも、誰よりも美しく整然とした文章で。


単純ではない表現も多かったし、専門的な醸造や栽培の表現などは、じっくり読みこまないと理解できませんでしたが、時に鳥肌の立つような美しい文章です。

麻井先生のお人柄が偲ばれる、謙虚さと真摯さと、優しさに満ちた文章です。


記憶に残る言葉もたくさんありました。



最初の予想通り、さらっと流し読みなどできない本でした。

それでも、ひとつひとつ文章をかみしめるように読むのは本当に楽しくて、何時間でも読み続けていられるような本でした。


定期的に、読み返したいと思います。