芸術の国イタリアのアーティストの幸せとは?   “芸術家とは存在である” | lat-sasakikaoruのブログ

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アートの勉強のため、現在フィレンツェに住んでいます。
イタリア語の語学勉強も始めたばかりですが、イタリアでの生活やアートに関連することをアップしていきます。
日本に帰ってからのアート活動に生かして行きたいと思います。

 

私はフィレンツェで描いた風景画はそんなに多くはありませんでした。

夏は暑いと言い、冬は寒いと言い、季節の良い時は小旅行に出かけ・・・・

 

 

それでも、アルノ川は時間とともに多彩な表情を見せてくれました。

 

 

水面に反射する両岸の建物、夜の灯り、暮れゆく空の色は

日々、違う景色をみせてくれました。

 

 

 

ぼんやりとかすんだ朝の光も古い町並みの抒情を醸し出してくれます。

 

 

フィレンツェを訪れる観光客相手に、多くの画家が絵を並べて売っています。

 

見たことのある人も多いと思います。

 

どの絵もとってもきれいです。

 

それぞれに画家が自分の個性を出して表現しています。

 

 

 

入館無料の第一日曜日に、ウフィツィ美術館を出てポルティコ(屋根つき舗道)を歩いていたら

 

とても個性的なポンテベッキオの絵に目がとまりました。

 

その絵を描いていたアーティストの方と少し話をしました。

 

これまでの活動や、いろんな作品を見せてくれました。

 

興味深い絵でした。

 

私は訊ねました

「あなたは幸せ?」

 

その画家は幸せではないと言っていました。

 

観光客はお金を払おうとしない、絵は売れない、と・・・・。

 

期待外れの言葉に、とてもがっかりしたのが正直な私の感想でした。

 

 

物乞いですら、交わす言葉の調子は明るいのに、

 

イタリアの路上で絵を並べている人の生活は苦しい。

 

 

 

アルテ・ポーヴェラを思い出します。

 

1960年代、イタリアの若いアーティストたちの表現

日本でも、80年代に3Cと呼ばれていたエンツォ・クッキやフランチェスコ・クレメンテ、

あと・・・ヤニス・クネリスだったかな?

彼らの名前を耳にした人もいると思います。

 

もちろん、ミラノを中心に活躍した“未来派”も広く知れ渡っていますが。

 

絢爛たる芸術の光の部分が目立つイタリアですが

世界大戦を経て、自分たちの生活を築きあげた人間のリアルな風景を描いた画家たちの絵も

現代美術館で見ることができます。

 

映画好きのひとなら、イタリアのネオ・リアリズモを思い出しますよね。

 

“自転車泥棒” 超有名!

“苦い米” シルバーナ・マンガーノが印象的

アランドロン主演の・・・何だったか“若者のすべて”?

貧しい南部から北イタリアに出稼ぎに来た若者の姿が描かれていました。

名作がいっぱいあります。

 

そう言えばイタリアは

素晴らしい映画を生み出した国でもありますね。

 

 

 

確かにルネサンス芸術は素晴らしい。

 

でも、私は見目麗しい色や形だけではなく

リアルな生活の中で心身ともに力強く生きてきたイタリア

 

精神の美を湛えていると感じます

それは、ミケランジェロやダ・ヴィンチから脈々と受け継がれた精神だと思います。

 

 

“芸術家とは存在である”

ロバート・ヘンライが著書「アートスピリット」の中で述べた言葉

 

私も、

芸術家とは真実を見、

時代や社会に流されず本質を見抜く存在でなくてはならないと思います。

 

しかし、お金がなくてもそう言いい続けられるだろうか・・・・

 

生活のために売れそうな絵を描くのは仕方がないことなのか・・・・

 

 

 

 

私が仕事を辞めて、絵の世界で生きていくべきだと

 

心を揺さぶったのは

 

奄美の画家である田中一村という存在でした。

 

 

私も“芸術家という存在”でありたい、と。

 

 

 

イタリアで出会ったブラジルの女性のエスキース

学校での美術の教師をリタイアして、絵を描き続けるエネルギッシュな姿がとても幸せそうでした。

事実、彼女は絵を描くことが幸せだと言っていました。

 

今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。