文香のアパートメントの部屋は、バウハウスデザインで統一されておりスペインにも関わらず白一色で統一されていた。
彼女はBang&Olufsenのミニコンポに手をかざしCureのBoys don’t cryをかけた。
「章、覚えてる?あの頃・・・」
「覚えてるよ・・・」
「あなたと別れてから、この曲ばかり聴いていたわ・・・、2度目にあなたが私を捨てた時・・・まだメーカーにいてあなたが突然、田舎に帰るって言いだしたっきり連絡が取れなくなった。私からは連絡することができなくて・・・、女の子なのにこの曲ばかり聴いていた。私は自分から電話することができなくて、1年後にやっぱり忘れられなくて、思い切ってあなたに告白して、それから半年付き合ったけどまた捨てられた・・・」
「・・・・・・・・・」
「チャールズ・チャップリンが言った通りね“人生は顕微鏡で見たら悲劇だけど、望遠鏡で見たら喜劇だって」
「昔の人はいいことを言う」
文香はあきれた顔をしてキッチンへ行った。
・・まずい、毒を盛られたら・・・・
彼女は、冷たい緑茶をコリンズグラスで入れてくれると
「これが、飲みたかったんでしょう?いいわ、忘れてあげる。これも何かの縁ね、人情人の為にあらずってやつか~」
と笑っていた・・・・
