彼女にマウリッツハイス美術館に寄りたいと言うと、意味深な顔をしながら承諾してくれた。
デン・ハーグの駅を降りて二人はゴロワーズの香りを嗅いだ。
マウリッツハイスまでの寄り道は、これから起こるであろう奇跡を予感させた。
美術館に入り、ウルトラマリンブルーのターバンを巻いた女の前に彼女を立たせると、時空を超えた完全なる遠近法に涙が出てきた・・・
彼女は泣き崩れそうになる俺の腕をひっぱり、デルフトの羨望の前まで連れて行くと
「ねぇ、この絵っ光ってるいのよ」
と言って、とてもソフトなベーゼをした。
切り取られた時間の絵画の前で、俺は彼女を抱きしめた・・・
