蝉はその身を削ってまで鳴き続ける


まるでそれしかすることを知らないかのように


まるで居ぬものに何かを伝えるかのように


自分は此処に居るんだと伝えるかのように


僕はいつも思っていた 


鳴かなければ蝉はいつまで生きられるんだろうって


多くのものがが壊れてなくなってきえてしまった夏にも


蝉時雨は街に降りそそいでいた


真っ黒な雨と一緒に


きっと冷たい土の中で眠っていた蝉が這い上がってきたのだろう


その身を削ってまで鳴き続ける蝉時雨はその夏


よりいっそう切なく悲しみを誘った


今でも蝉時雨を聞いていると思い出す


たくさんの、あか。たくさんのくろ。

だから嫌いなんだ


だいきらいな蝉時雨


もしも僕が蝉になったなら一体誰に何を叫ぼうか

そして、聞いてみよう

あの蝉の言葉を