僕は何をしに此処に来たのだろう
そんなことを数え切れないほど思ったけど一度も答えは出てこなかった
そんなの国を守るためだろと先輩は言うから、僕はずっとそう思っていた
崩れた暗い路地裏の片隅に僕は銃を持って佇んでいた
銃口の先には敵国の老婆
俺はたった今この老婆を殺そうとしている
多分これは見世物なんだ。お国のためという名前をかりた
銃を老婆に向けてただ佇んでいる僕にこいつらは早く殺せと興奮して囃したてている
僕は、此処に何をしに来たんだろうとおもった
僕は戦争をしに来たんだ
武器も持たない市民を殺しに来たんじゃない
そんなヘンなプライドが引き金を引くのをためらっている
誰かが殺さなければ殺すぞと叫んだ
僕は思わず引き金を引いた
銃声とともに後ろで歓声が上がった
やがてその歓声は笑い声へと変わった
先輩の一人が僕に寄ってきてやるじゃないかと肩をたたいてきた
僕はその手を払って先輩に問うた
何故、この老婆を殺さなければならなかったのですか。
ほとんど泣いた状態の僕の声は震えてみっともなかった
そんな僕を笑うかのように先輩は、別に意味なんかないよと言い捨てて群の中に戻っていった
僕は呆然として先輩の言葉が頭を回った
少なくとも僕は、国の為にというその言葉を望んでいたのだろう
情けなく僕は、老婆に謝りながら泣き崩れた
そして問うた
意味がないなら僕らは何の為に?
意味がないならどうやって終わりを?
誰にでもなく、ただ僕のしていることが正当化される理由が欲しくてただ問うた
誰か意味を。