5月20日に行われた再追加公演の「杉山清貴&オメガトライブ NHKホールコンサート」を見てきました。3階席の中段あたりの席でした。相変わらずの、よくまとまった演奏と、ますます伸びやかな杉山さんのボーカルが素晴らしいコンサートでした。これまで山梨・浜松の2本を見ていて、NHKホールで3本目でした。メンバーも25本目のコンサートという事で、所々に荒さが目立つ演奏でした。歌終わりからギターソロへ、ギターソロ終わりから2番の歌へなどの転換の場面でリズムの乱れが多々見られました。そいう意味では、2本目の山梨は、適度な緊張感があって、実に素晴らしい演奏だったと感じます。また昨日のNHKホールでは、うしろの方の席ということもあって、PAの音を遠くで聞いている感覚があって、体で感じる音ではないことと、音が回ってボワンとした音で、MCも聞き取り難かったと思います。加えて隣の席の男性が、手拍子を必要以上に大きな音で叩き、歌が聞こえない状態もあって、音的には不満の残るコンサートでした。音で言えば、やはり「横浜アリーナ」が最強だと思います。どの席になっても、体で音を感じる事ができて、いつでも何処の席でも一体感のあるコンサートを体感できると感じています。

今回の目玉は、途中の自分達の曲を「大瀧詠一風」「山下達郎風」「THE ALFEE風」で演奏する2曲に変わって、先日のNHKの番組で演奏した「真夜中のドア」「北ウィング」を披露したことでしょう。難しいアレンジの「真夜中のドア」をそつなくまとめているのは、やはり代役ドラマーさんのチカラが大きいと感じました。このツアーの演奏が素晴らしいのは、代役ドラマー小川幸夫さんの素晴らしいドラミングのおかげだと思われます。素晴らしいドラマーに引っ張られて、ギターの二人も、手癖で弾かずにちゃんとアレンジされたフレーズを全編で弾ききっている。吉田健二さんは、枯れたサウンドでエリック・クラプトンのようなフレーズを弾き、高島信二さんはスティーブ・ルカサーのような早いフレーズを元気に弾いていて、二人の違いが演奏の幅を広げているようでした。今回のツアーでは、これまで高島信二さんが弾いていた「君のハートはマリンブルー」のギターソロを、吉田健二さんが弾かれていて、枯れたサウンドで当時のレコードサウンドを再現していて胸が熱くなりました。今回も「SCRAMBLE CROSS」が良かったです。アップテンポの曲なのに陽気ではなく、かといってバラードのように聞かせる曲でもない不思議な雰囲気の曲ですが、これと「霧のDOWN TOWN」「Silent Romance」が、藤田浩一プロデューサーが目指したオメガの世界なのだと僕は思います。どこか影のある「哀愁のシティサウンド」を目指していたんでしょう。明るめの曲は「売れる為」だったと思います。2019年のツアーで「霧のDOWN TOWN」を演奏してくれましたが、この曲の雰囲気を再現できる演奏力はなかったのですが、今回のツアーでは「SCRAMBLE CROSS」の難しいアレンジを雰囲気も含めて見事な演奏で聞かせてくれました。本当に素晴らしい。このメンバーでの「霧のDOWN TOWN」が聞きたいと本気で思いました。アンコール2曲の間に「グッズ紹介」のコーナーを挟んでいましたが、これは山梨では無くて、浜松ではありました。アンコール2曲で盛り上がって終わった方が良いのに、わざわざ2曲の間にこのコーナーを挟むのが杉山清貴&オメガトライブらしい照れ隠しに見えました。「たいそうな事はやってないんです」「いい加減なバンドなんです」とでも言っているかのようでした。

21:30に渋谷区役所前駐車場を出て23:50に帰宅して、1:30就寝、5:00起床で、6:00出社して一仕事をしてこれを書いています。

今回のツアーは、本当に素晴らしい内容です。MCで「吉田健太さんが参加できた本当の最後のツアー」という主旨のことを言っておられましたが、前言撤回を平気でする柔軟性のある杉山清貴さんですから、また知らん顔してオメガトライブとして単発コンサートをやるような気がします。ただ、ツアーは本当に最後のように感じました。

是非、このツアーの映像作品を発売して欲しいと思っていますが、杉山清貴さんの事だから「廣石くんがいないから出さない」と言いそうです。良い意味で、いい加減な人だけど筋は通す人だと感じています。