身長ぐらいの大きな窓の外に
住人の多そうな建物が2つあって
その間から建物1階分ぐらいの海が見える。
海の向こう岸に立ってる煙突の航空障害灯の光が
灰色の曇り空の中で白く点滅している。
小さくても強い瞬間的な光。
それを時々見ている。
人間はだいたい唐突に生まれてくる。
生まれたい、今日生まれたいと思って生まれてきた人はおそらくいない。
先祖代々続く生命の流れの中で偶然その年、月、その日に生まれて、生きている。
そうして突然始まった人生は、体が動かなくなった時に終わる。
何をしていようが、何の途中だろうが、身体機能が停止すればそこで終わる。
ベーチェット病と慢性骨髄単球性白血病の疑いがあるらしい。
どちらか片方ではなく2つ。
ほぼ確実に平均より残り時間が短い
その間に何ができるだろうか
いつまでもここにいるわけにはいかない
早く外に出なくてはならない
目が見えて手が動くこの時間を
余す事なく使い切らなくてはならない。
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