先日のNHK杯トーナメントで木村一基九段と西山朋佳女流三冠が対決した

 

何を隠そう私が将棋界で一番好きな棋士が木村九段である

棋風は「千駄ヶ谷の受け師」なるニックネームもあるほど受け将棋が得意であり、言わずと知れた苦労人

プロ入りから22年経った46歳での悲願の初タイトルは多くの将棋ファンに感動をもたらした

 

私が好きな理由の一番は圧倒的なトーク力とキャラクターで大盤解説をさせたら右に出るものはいないと思っている

そんな木村九段の相手が長年、幼いころから指導対局を続けてきた西山三冠なのである

NHKトーナメントという全国放送の大一番、しかも相手は女流棋士、かつ教え子となれば是が非でも負けるわけにはいかない

ずっと木村九段の表情をうかがっていたが、そこには鬼気迫る覚悟と絶対に負けてなるものかという執念が垣間見えた

中盤の勝負所で指した勝負手は往年のひふみんを彷彿とさせる迫力ある駒音で解説者も驚きのリアクションをしていた

文字通り、絶対に負けられない戦いであったが、終盤のミスがたたり惜しくも西山三冠に負けてしまった

将棋という世界の一番残酷なのは「負けました。」と相手に言わなくてはならないことだ

果たしてどんな思いで元教え子にこの言葉を放ったのか。筆舌に尽くしがたい想いがあったことだろう

ただ、勝負事が終わり、感想戦となり緊張が溶けた途端の木村九段の表情は柔和で温かいものであり、

「そっちかぁ。そうでしたねぇ」と語る表情が先ほどまでの鬼の形相と打って変わり、孫と対峙するおじいちゃんのような微笑ましさを感じ、思わずぐっときてしまった

 

 

西山朋佳女流三冠の次戦は藤井七冠

木村九段対藤井先生を期待していた私ですら楽しみな対戦だ

 

 

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