小春日和。
 その言葉がぴたりと合う、新年も明けて七草も間近と言ったところの午後。
 期待していないわけでは……いや、期待しているのだろう。いつもの彼が、学内の私の執務室へと顔を出していた。
 彼は、まるで我が部屋のように、手早くコーヒーの準備をし、当たり前のように自分の分と私の分のマグカップを両手に、執務机へと寄ってきた。

「教授。七草とはいつ頃から始まった習慣なのでしょうか?」

 執務机に私の分のマグカップを置くと、そんな質問を投げかけてきた。

「工学の私にそれを聞くかね。人文のヤマアラシに聞いたほうが良いと思うのだがね」

 彼の入れてくれたコーヒーに口をつける。

「ボクは教授と、このテーマについて推論を交わしたいのです」

 うん。暇だから構ってくれと言うのだな。

「それに、歴史的な事実とされていることも、推論の域を出ていないように思うのですよ」

 若さは時に遠慮のない発言をさせる。
 今の私では恐れ多いことでも。