(2016/11/6記事 再UPです)


最近、いろんな方からご質問を頂くようになったのですが、私もとても勉強になるので、できる限りお答えしています。

 

複数の方から続けて、同じような内容でご質問K子メールを頂いたので、

他の方のご参考にもなればと、私の考えを書いておきます。

 

(以下ご質問)

 

ママりん「どうして学校に行きたくないの?」

と子どもに質問しても、

 

boy「わからない」

としか返ってこないです。

 

自分に気をつかっているのでしょうか?

それとも本当にわからないのか…?

理由は何なのでしょうか?

 

 

 

人間って、「わからない」ことって、「怖い」んです。

 

「子どもの気持ちが、わからない」

確かに母としては不安ですよね。

 

子どもを信じたい、信じなきゃ、という気持ちと、

揺らいでしまう不安になる気持ち。

 

お母さんの心の中に共存する、この二つの闘いは、

お子さんが不登校を選択した場合なら、少なからず発生するものだと思います。

 

 

例えば、車を運転していて、

向こう側が見えない急カーブにさしかかったら、

ブレーキをかけて減速するでしょう。

 

わからない事を、予測して、回避できるようにしようとするのが、人間です。

というか、それは動物の本能です。

 

 

親だって、怖いんですよね。

だから知りたい。教えてほしい。

 

…と思う、お気持ちは私にもわかります^^

 

自分の中の怖れを、責める必要はありません。

当然のものですから^^

 

 

でも、残念なことをお伝えしますね(笑)

 

「なぜ行きたくないか」の理由なんですけれど、

私自身が不登校だった時の経験から申しますと、

 

ほんとに「なんでか、わからない」。です。

 

そのまま、言葉通りでした。

 

わかんないんです。

だから、いくら訊いても、そこに期待する答えは「ない」可能性もある、ということです。

 

 

「自分が行きたくないと感じている」ことはわかります。

でも、理由と言われるとわからない。

 

経験者と言っても本当にいろんな方がいるので、全員そうではなく

 

「いじめられた」

「学校の先生と合わない」

 

などなど、ハッキリした理由を自覚している子もいます。

 

 

でも、「そもそもわからない」とか、「わからなかった」って答える人も、多いですね。

 

私も振り返ってみて「あれは理由の一つだったな」と思うことはいろいろあります。

が、どれも後付けに過ぎません。

 

 

 

「言いたくない」とか「気を遣って」というのも、確かになくはないです。

 

「自分が自分の気持ちを言うことによって親を傷つけるのではないか」

という怖れもありました。

 

「世の大多数の人の常識から見たら外れていることをしている」

という自覚もありました。

 

親や学校にとって都合の悪いことを言うのが怖い。

 

 

親も学校も、今の日本の社会全体も、大人が思う以上に、子どもに

「そのままのあなたでは、ダメな人間なんですよ~」

「学校に行かないあなたはダメな子ですよ~」

というメッセージを常に発信しています。

 

 

何か言って、今度は逆に自分が否定されるのではないかというのは

弱い立場、選べない立場の子どもにとっては、恐怖なのです。

 

 

でも、何より、私の場合は理由を

「うまく説明できなかった」なぁ、と思います。

 

たぶん、それが一番適切な表現になります。

 

 

行きたくないという思うきっかけや事柄が「ハッキリと1つだけある」っていうわけではなくて、大概の不登校の場合は、複数の事が重なってあるものです。

 

そして、漠然とした、学校の「雰囲気」だったりします。

それはたくさんの小さな経験や情報の集合体です。


私の場合はそれが、モヤモヤしていて「言語化できない」感じでした。

 

 

 

逆に「行きたい」と思うポイントの方がほとんどないし、
「何」と言われても困るんですけど。
全部イヤなんですけど。

 

…みたいな所もあるし(笑)

 

 

「なんで行きたくない事をわざわざ説明しないといけないのか?」

「なんで『子どもは学校行かねばならない前提』なのか?」

 

そういう疑問も感じていたので、


そもそも

「理由を言わされる」

「説明させられる」

っていう事、親や社会への反発もありました。

 

だって、「学校に『行きたい』理由」については、

わざわざ説明しなくても良いんですから。

 

おかしくないですか?

 

その疑問は全く間違ってなかったと、大人になった今も思います。

 

 

学校じゃなくても、どこででも、子どもは学べる。

なのに、学校じゃないといけない理由は何?

 

その問いは、全くもって健全な問いです。

 

 


そして、重要なことは、当時の我が家の場合、

「親が私の説明を聞く耳を持っている」とは、思えなかった

っていう事です。

 

 

小さな頃から何か親の意に添わない事を言えば

 

ヒステリックに怒られたり、

言い負かされたり、

物を投げられたり、

閉じ込められたり、

落とされたり、

 

そんな風に育てられてきて、

 

それは子育てのほんの一部のシーンだとしても、

 

自分なりの意見や気持ちを言う事は、「悪」

 

というイメージを持つには十分なものでした。

 

 

そういう積み重ねをしてきた後に、今度は

 

「自分の気持ちをちゃんと言いなさい!」

「人にわかるように説明できなきゃ大人になれませんよ!」

 

と圧力をかけるのですから…

 

手のひら返すように、とはこのこと(笑)

矛盾しております(^_^;)

 

 

子どもだった私は、親を信じられず、

ほんとの気持ちなんて、一切言いませんでした。

20年経ちましたが、未だにちゃんと説明した事はないです。

だから、親は知らない事、たくさんあると思います。

 

(今は親との関係も良好だし、感謝しているし、責めたりする必要もないので、「特に言う必要がないから言ってない」のですが、このブログを見て知って驚いている事もあるかも…(笑) ただ、今は、「親も理解してくれる」という信頼感があり、万が一理解してくれなくても、「自分は間違っていないし、正直な気持ちや経験を人に伝えても良いんだ」とわかっているのでここに書けているのですね。)

 

 

叩かれれば叩かれるほど、

そして登校の圧力がかかればかかるほど、

「お前たちに教えてやるものか」

という位に、恨みにも思っていました。

 

 

今思い返せば、小さい頃から良い教育もたくさんしてくれていたし、

親の愛はいっぱいありました。


でも、その時の私の中には、

行きたくないという気持ちを「親に言う」という選択肢は、全くなかったです。

 


だからずっと行きたくなかった時にふとしたきっかけで無意識のうちに

「川に通い始める」

という行動に出てしまって、

バレた後は理由も言わないで布団に引きこもり始めるような状態。

親とはすごいバトルになりましたよね(笑)

 

 

あの時、理由を何か口にしていたら、どうだったのかな?

 

…と、

たまに思いますが、

 

きっと、あんまり変わらなかったでしょうね(笑)

 

学校に行かせたい親と、行きたくない子、という構図自体が変わらなければ。

 

 

それで、先のようなご質問が親として心に浮かんだ時に、大事なのは、

 

「理由を言ってほしい理由は何なのか?」

 

っていうことを、親が見つめ直すことです。

 

 

「何のために訊くのか?」

 

親のエゴのために訊いているのか、子ども自身のために訊いているのか、

子どもは鋭く見抜きます。

 

 

例えばしつこく訊いてみたとして…

何か一つでも学校の嫌な所が子どもの口から出てきたとしますよね。

 

でも、今度考えなければならなくなるのは、

それは、「本当の理由か?」ということです。

 

後付けの理由かもしれません。

とりあえず親に納得してもらえそうな理由を言っている可能性もあります。

本当の事を隠すためのダミーかもしれません。

自分の本心を、自分に対してすら気づかないうちに隠している可能性もあります。

 

 

…ということは、

訊いたら訊いたで、また考えなければならない事が出てくるんですね。

 

理由を聞いたから、何になるのか?

 

子どもの表面上の言葉ではなく、本当の奥の気持ちを、観察しなければならないのは、理由が聞けても聞けなくても、変わりません。

 

 

ただ親自身の不安を消したいだけで、訊いていないかどうか?

 

 

確かに、納得のいく理由を言ってくれたら、親はちょっと安心するかもしれません。

 

でも、それは本当に子どものための行動かどうか?

その行動によって子どもにどんなメッセージを発してしまうか?

 

考えてから、尋ねてみてほしいなと思います。

 

もし「子ども自身がよくわからない事」だったり、「うまく表現できないこと」について

問い詰められたら?

「説明できなければダメな人間だ」と思っている、というメッセージが伝わってしまいます。

 

その結果、子どもは逆に心を閉ざしてしまいます。

 

 

もし訊くならば、

「理由を言いなさい!」ではなくて、

 

・私はあなたの気持ちが知りたいの

・私はあなたが困っていることがあるならそれをどうにかするお手伝いができるかどうか、一緒に考えたいの

 

そういう親の気持ちを、

できれば「Iメッセージ」(自分が主語になるような伝え方)で、

一緒に伝えるようにしてほしいです。

(ただ、これもしつこくしたら逆効果)

 

 

そして、その時の心構えとして、

 

・どんな答えが返ってきてもOK

・「わからない」でもOK

・答えなくてもOK

 

そういうフラットな気持ちで、感情を乗せずに訊いてもらいたいなと思います。

(不登校の理由を聞く時だけでなく、どんな質問にも共通する事ですね)

 

 

話してくれるかもしれませんし、話してくれないかもしれません。

それは相手が決めること。

 

でも、話してくれなくても、そこで怒ってしまったら、子どもとの信頼関係にはどんどんヒビが入ります。

 

「この人はわかってくれないんだ」

そう思われて、子どもにとって家庭が居心地の悪い所になったら?

ただでさえ学校が居心地が悪いのに、どこに子どもの生き場所があるでしょうか?

 

 

ついつい怒ってしまうという方は、ちょっと外の空気でも吸って、深呼吸。

家でずっと子どもと一緒にいて煮詰まってイライラしてしまう!という方は、

自分の趣味でも仕事でもして、自分を満たすようにする。

 

そして「せめて何も言わないようにする」という所からでも

心がけてもらえると良いなぁと思います。

 

 

理由を言うか言わないかは、

不登校の子が学校に行くようになるかどうか、や

本人が自分らしく生きられるようになるかどうか、には

直接関わりはないと私は思います。

 

 

そこはね、

あんまり大事じゃない所なんです。

 

もっと言えば、学校に行くかどうかも、大したことじゃないですよ。

 

 

もっと大事なことがある。

 

 

「理由を言っても言わなくても、そのままでどんな時も

あなたを受け入れ、愛しているよ」

 

というメッセージを

親が子どもに発する。

 

発し続けるような、「関わり」を実際にしていく、ということです(^^)

 

 

<武山理恵へのお問合せ・各種お申込み>
  ほうじ茶ご提供中のメニュー一覧
  ほうじ茶現在募集中のイベント一覧
  ほうじ茶お申込み・お問合せフォーム