今回は、青道逆転もさることながら、稲実のキャプテン福井の実状について掘り下げます。
青道の攻撃。白州が三塁に、御幸が一塁にいる。
バッター前園はセーフティスクイズ。三塁線に転がした。白州は生還。青道、逆転!
あっという間の逆転。
稲実の意表を突いたのは、セーフティだけでなく、前園が一塁でなく三塁方向に打ったことも?
どなたか教えてください。
逆転打者、前園の歓喜の雄叫び。↓
何て言ってる?
左側は「く」と「そ」?
だから、ほとんどカットされたんですね。
この次のページで、稲実ナインはとっても焦りまくってるんですよ
敵にリードされるなんて、今までなかったから。
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では
稲実キャプテン福井について。
この人、掘る所が多いです。
まずは、福井が初めて登場した頃に遡ります。
福井が稲実の新キャプテンに選ばれた直後。
ダイヤのA 第1部の219話。だーいぶ前の話。
雑誌記者の大和田は、前キャプテンの原田に、新チームのキャプテンは決まったのかと尋ねた。
原田「ええ・・監督も選手も満場一致で福ちゃんですね」
大和田の心の声(福ちゃん・・誰!?)
原田「甲子園でもベンチ入りしてませんし・・新チームでもレギュラーにはなれないと思います・・けど、チームで一番責任感が強くて真面目・・グラウンド整備もいつも最後までやってるような奴なんです。レギュラー陣にキャプテン気質の奴がいなかったのもあるんですが・・」
稲実をフォローしている記者が全く気にもしていなかった選手、つまり補欠でも二軍でも、おそらく三軍でもなかった選手なのに、満場一致で選ばれた。 …これは、どう考えても普通ではない。なーんか怪しい。原田は「・・」が多くて、言いわけっぽい口ぶり。おかしな雰囲気が漂う。
前キャプテン原田が語る、福井で特筆すべきこと。それは、責任感、真面目、グラウンド整備・・・。
で、福井の野球能力はどうなの?
ポジションは?
何が強み?走塁とか、肩とか…
それについては、一言もなし!!!
名だたる強豪稲実のキャプテンの話だよ。
野球同好会じゃないんだよ。なのに。
…福井は、真面目で温厚な性格のみを買われてキャプテンになったんだ!
体型もウエストとお尻太めだし。
福井の野球能力は、スタンド。そのなかでも最下層と推測できる。五軍とか六軍とか。
強みがないのだから。
試合に出ない選手に、キャプテンが務まる?試合に出ないと理解できないことって、結構あるんじゃないの?
そんな選手が満場一致でキャプテンに選ばれた…ええええええ!
やっぱ、この代の稲実は、おかしい!
福井が満場一致で選ばれたわけ。
それは、推薦したのが国枝監督だからじゃないかな。
もしキャプテンを補欠や二軍とかの選手から選ぶと、その選手が精神的に潰れてしまう可能性がある。なんせ今年の稲実は、選手ピラミッドの最上部にクセの強い奴らが揃ってるからね。
または、成宮派と、キャプテン派に分かれて衝突して、野球部は内戦に陥ってしまうかもしれない。
成宮は監督にさえ食ってかかるような奴だ。
※だから最上部の選手たちとぶつからない、五軍六軍の選手から、温厚で、途中で投げ出さない真面目な子を、キャプテンというお世話係 兼 ベンチ内応援要員に選んだ。
福井は、稲実の「福の神」という位置付けのキャラなのだと思う。
姿かたちが似てるし。
試合で先攻後攻を決めるじゃんけんは全勝だし。
幸運をチームにもたらす存在。
そして、実際、稲実は無敗だ。
キャプテン、福の神。青道相手にどんな神通力を発揮してくれるのか。
神通力。野球を見てると、それって本当にあるんじゃないかと思うことがある。
この夏の甲子園大会でも、どうしてこんな時に限ってホームランが打てちゃうのぉ!と思うことが何度かあった。
…ふふふ。実は、青道にも神仏がいるのだよ。
国宝、金剛力士像の前園
が!
どーだ。
彼は最近、能力を発揮し始め、今では青道の打点王!
御幸がジャンケンで負け、先攻になって落ち込んでも「ええやないか!」と不吉を吹き飛ばす強さを持ってるし(カッコよかった)!!
実際、さっき逆転ヒット打ったの、前園だし!!!
あ、守護神の川上もいる。今日は怪我で出場できないので、ベンチで祈祷中。
強く強く勝利を祈る。
それって、メンタルへの働きかけだよね。
何事もメンタル大事。
青道に逆転されてしまった稲実は、福の神を伝令に送る。
ごくごく当たり前のことを言う福井に、成宮はそっぽ向いたまま。
福井は「うん。いったん間を取っただけ」
試合経験のない彼。明るく当たり前のことを言って聞かせて、気持ちを落ち着かせるのが仕事。
江崎と矢部は、福井の言葉に、素直にうなずいてる。
江崎は下級生の、2年生。
矢部は、成宮率いるスター軍団の中でも、なかなかレギュラーになれなかったので、序列が一番下。
2人ともスター度が低い。
福井、いいメガネしてるな↑。似合ってる。メガネは福井県の名産品だ。
大ピンチの場面で、福井の目は陰りも迷いもなく明るく澄んでいる。違和感あるな。怖さすら感じる。
福井の「ファン」という一言で、
スター選手の白河と山岡はいい気分になり、つい口元がほころび、ニコリ。
自分達にはスターたる実力があるのだということを、再確認。
多田野のこの表情↑、どう思う?
彼は内心複雑なのかも。
キャプテンは、成宮の多田野へのパワハラを見て見ぬふりだ。
多田野は1人で成宮と格闘してきた。
「ファン」という一言が効いて、成宮も、口元がほころんだ↑。スターの自覚が蘇った。
成宮「ファンって・・本当、福ちゃんだなあ」
つまり、こういうようなお世辞を福井が言うのは、これが初めてではない。
あーそうか!
レギュラーの2年生江崎が、この試合中、成宮に「鳴さんカッコいい」とお世辞を言ってたのは、福井の影響だったんだ。
今年の稲実チームは階級社会なんだ。王、貴族、平民。王は成宮。成宮の取り巻きスター選手達が、貴族。それ以外は、平民。下の者は上の者にひれ伏し、崇め奉る。お世辞も言う。
その身分制度を、キャプテンの福井が「ファン」を自称することで、より強固なものにしている。
青道では、どうか。レギュラーの春市や東条や金丸が、実力者の御幸に「御幸さん、カッコいい」と言うことは想像できない。先輩・後輩関係はあっても、選手として平等。
多田野よ、変なことを勉強するな。もう君は十分おかしくなっている。
成宮から多田野へのパワハラを聞いても↑、福井は表情を変えない。明るく澄んだ目をしたまま。福井は多田野のことを心配していないんだ。残念。やっぱり人ごとなんだな。福井はただのファンとして見てるだけなんだ。
福井は思う。「裏切られたと思ったことは一度もない」・・・実力ではベンチ入り出来なくても?選手なら悔しくない?悲しいけど、完全に諦めたんだね。・・もう選手として互いに切磋琢磨して上を目指すことはせず、ファンとして応援することに徹しているんだ。
「質の高い練習や…」・・・福井がその練習についていってるのは、すごい。ただ、部員100人を超える野球部だし、福井のような選手の練習は、一軍、二軍の選手とはだいぶ違うかもしれない。ボール拾いなど練習以外の部分も多いかもしれない。それで本当に満足?
…キャプテンになる前、グラウンド整備を誰よりも遅くまでやっていたのは、何か違うと悩み、自分にできることはないか模索していたからじゃないの?
貴重な高校時代。
自分を追求する機会のある高校生のうちに、追求しておくのがいいよ!絶対に!
高校を卒業してしまったら、そんな機会は、なかなか得られないかもしれないのだから。
高校でその機会が得られるのかどうか。
そういうことは、親など周囲の大人が助言してあげるべき。
進学という人生の節目で、何となく良さそうな選択肢を選んでその先どうなるかなんて、子どもには想像もつかないことが多いだろうから。
選んだその先に、具体的に何があるのか。
福井は1、2年生の頃、本心では自分のチームでの立場を残念に思っていただろう。
だが今や、福井の表情は明るく輝いている。
キャプテンに選ばれて、負け組から一躍勝ち組に入った福井。今や残念な気持ちよりも、喜びの方が断然大きく上回る。
なんせ強豪稲実のキャプテンですよ!スゴイ!
大学受験で有利!
4年後の就活にも有利!
雑誌や新聞の記事に自分が掲載され、テレビにも映る。
親や親戚も誇らしく思ってくれる。
そんなキャプテン職が転がり込んできた。
さすが福の神、超ラッキーな奴!!
自分はチームの重要な一員と感じられるようになった。「本当に嬉しい」。
成宮は、福井に持ち上げられ、キングとしての自信と自覚を取り戻した。
「凄い球」を降谷に向かって投げた。
福井は世代最強の投手、成宮をコントロールしている。その万能感!を味わっているはず。
福井「僕の憧れのチームなんだ」…
この心の声は、まずい。
283話の考察、次回に続きます。