午前中は、いろいろな資料、データを見る事が日課です。
ヨーロッパ20ヵ国からのレポートを秘書の氷川が日本語に翻訳して、私に提出するのがだいたい10時頃です。
日報だけなら、30分くらいでチェックは終わります。
その日報チェックをしていたら、身内の警察官が電話を寄越しました。
利光が、昨夜、酔って暴れて、示談が成立したから、悪いけど迎えに来てくれと言われました。
元、ヤクザの利光が一番恐れているのは、私です。
幼い時に、私に絞められたトラウマが未だに残っているから、私には絶対逆らいません。
そして、私の言う事なら聞きます。
いつもなら、スケジュールが入っていますけど、今日に限って空いていました。
警察署に、利光を迎えに行きました。
昌昭兄さん、すいませんでした。
丁寧に詫びを入れました。
どこに、ベンツは有るんだ?
みさきの店に有りますから、そこまでお願い致します。
私は、旧国道1号から、1号バイパスに出ました。
暫く走っていたら、見覚えのあるベンツが煽って来ました。
信号で止まったら、前を塞ぐように停まりました。
若い半グレが車から降りて来ました。
利光、ケリを付けて来い。
半グレは、利光を見て、顔色が変わりました。
リトマス試験紙のように、一気に顔面蒼白になりました。
そこのファミレスの駐車場に入れ。
利光は、半グレの胸ぐらを掴んで言いました。
私がBMWを駐車場に入れたら、後ろからベンツが入って来ました。
おい、若造、誰の許可を得て、俺のベンツを運転しているんだ?
しかも、煽って来やがって。
私は、利光を抑える為に、車から降りました。
ベンツの後部座席に女性の姿が見えました。
利光の妹のみさきでした。
私の姿を見たら、車から降りて来ました。
ヤクザの情婦をしているから、宗家や、私から禁足処分を受けています。
私とは、昔から不仲です。
みさき、お前、若い衆の教育が悪いんだよ。
これを見て見ろ。
私は、みさきの髪の毛を掴んで、BMWのバンパーを見せました。
この傷の落とし前、どうしてくれるんだ?
弁償しますから、命だけは助けて下さい。
泣きながら言いました。
こいつも、一族の端くれですから、我が家の暗殺部隊を知っています。
事故に見せ掛けて殺すなんて、朝飯前です。
心筋梗塞に似た症状で、あの世に送ります。
半グレは、利光に袋叩きにされました。
若造、みさき、車に乗れ、義兄弟に話をつける。
昌昭兄さん、本当に、ご迷惑をおかけしました。
そう言って、ベンツに乗り、消えました。
あの半グレ、指を詰めるだけで済むかな?
私のBMWの修理代は、水増しして、みさきの店に請求します。
Mチューンの特別リアスポイラーの一体式です。
ドイツから取り寄せますから、軽く見て100万かな?
あの半グレも、ベンツで脅して、金を稼ごうとしたのでしょう。
しかし、相手が悪かったですね。
利光が大切にしているから、相当の金額をみさきの旦那は、払うでしょう。
しかも、利光の弟分ですから、逆らえないでしょうね。