この台風が通過すれば、関東、東海地方も梅雨明けするでしょう。
夏休みは確かに学生は楽しいでしょう。
夏休みと言う長期間の休みが有ります。
リゾート地で、長期間バイトする大学生もいます。
そういう施設には、寮があり、そこから送迎バスで職場に通勤するのが原則です。
でも、従業員の車に乗せて貰って通勤する事も有ります。
お盆の時は、道路が渋滞して、送迎バスが時間に寮に着かない事も有ります。
だから、施設もバイトの娘が従業員の車で送迎する事を咎め立てはしませんでした。
そのリゾート施設は、伊豆では有名な所です。
武田鉄矢が、有名な台詞
僕は死にません。
それを叫んだシーンは、この施設で撮影されました。
あのドラマの影響で、その施設の教会で結婚式を挙げる人が増えました。
これだけの施設ですから、スタッフも沢山います。
かく言う私も、この施設の中にある、ゴルフ場でキャディをしていた時期が有ります。
しかも、初期にいたから古参の連中に顔が利きます。
ある年の夏休みの話です。
東京の有名大学の女子アルバイトが数人8月一杯までの契約で、このリゾート施設に来ました。
その中に、啓子と言う素朴な女子アルバイトがいました。
中肉中背で、控え目で目立たない娘でした。
ただ、言われた事はしっかりやる娘でした。
たまたま従業員食堂で、私の向かいの席に座りました。
私が、冗談で、可愛いね。
彼氏いるの?
まだ処女?
そう言ってからかうと、顔を真っ赤にして、照れるような純真な娘でした。
真田さん、ダメですよ。
純真な娘さんをからかっては。
私の隣には、プレイボーイで有名な社員が座っていました。
これくらいの冗談は許せよ。
おっ、スタンバイタイムだ。
私だけ先に従業員食堂から出て、マスター室に戻りました。
プレイボーイの龍夫は、私が去った後に、デートの約束をしたと、残っていたキャディさんから聞きました。
これが不幸の始まりでした。
男性と付き合った事の無い啓子は、プレイボーイの龍夫にすっかり夢中になりました。
施設から、寮まで、毎日龍夫の車で送迎して貰っていました。
もうじきバイトが終わる頃、啓子は身体の異変に気付きました。
薬局で妊娠検査キットを買ってチェックしました。
案の定、妊娠3週間でした。
啓子は、龍夫に妊娠した事を告げました。
啓子は、早く伝えたくて、施設の控え室に龍夫を呼び出して言いました。
龍夫一人と啓子は思って話をしましたが、実は私が見えない場所にいました。
話を済ませると、啓子は職場に戻りました。
龍夫の顔は、青ざめていました。
実は、龍夫には結婚を前提とした彼女がいました。
ただ、人手不足の大阪に応援で出張していて、9月には帰って来ます。
その女性、操は私の友人の妹で、小さい頃から知っています。
操の兄貴は、私と対等にケンカが出来る数少ない人物で、キレたら相当危険な人物です。
龍夫、大変な事になったな。
操が知って、剛士に言ったら、多分半殺しだろうな。
龍夫は、無言で職場に戻りました。
それから、繁忙期が過ぎるとバイトも休日を貰って近くにドライブに行きます。
龍夫は、休みを啓子と合わせて近くにドライブに行きました。
龍夫は、最初から啓子を殺すつもりでした。
嫉妬深い操の性格を知っています。
バレたら、何をされるか分かりません。
しかも、剛士は、地元では知らぬ人はいない、元、筋者です。
自分の身の安全の為、龍夫は行動に移しました。
伊豆には、テレビで何回も心霊現象が撮影された自殺スポットが有ります。
そこに啓子を連れて行き、海に突き落としました。
しかし、悪い事は出来ないです。
誰も見ていないと思っていたら、巡回していた警察官に現場を見ていました。
止めるつもりで走って来て間に合わなかったのです。
現行犯逮捕
しかし、龍夫の恐怖はこれからでした。
操からは、怨みの籠った手紙が届きました。
浮気を許さない事。
慰謝料は、最低で億単位払って貰う事
兄貴が怒っている事。
さらに、毎夜、啓子が龍夫の夢枕に立ちました。
何も言わないで、ただ、じっと龍夫を見ていました。
啓子、許してくれ。
大声で龍夫は叫びました。
何日も、同じような事を繰り返しました。
それから数日後、龍夫は急死しました。
心筋梗塞と言われています。
恐怖に怯えた顔で死んでいたそうです。
奇しくも、その日は啓子の誕生日でした。
生きていたら、22歳。
これは単なる偶然でしょうか?