暦の上では、今日は立夏です。
夏の始まりです。
夏の風物詩と言えば、やはり怪談ですね。
令和一発目は、私が一番怖い思いをした話をアップします。
それは、丁度八年前の事でした。
最愛の妻、恵利華を亡くし、形見分けをした時まで話は遡ります。
恵利華には、恵理子と言う従姉妹がいました。
地味な恵利華と、派手な恵理子。
恵理子は、恵利華と違い男性関係も派手な女性でした。
この二人は、花に例えるなら、菊の恵利華と薔薇の恵理子です。
どんな人とも、仲良くしたい恵利華ですけど、恵理子とだけは不仲でした。
いろいろ因縁があるらしくて、私にも、恵理子の話だけはしないで欲しいと言っていました。
面白い事に、恵理子も、恵利華を嫌っていました。
二人の不仲に拍車をかけたのは、お互いの旦那の違いも有りました。
私は、東証一部上場企業の社員で、マネージャーでした。
恵理子の旦那さんは、フリーターでした。
収入は、5倍くらい差が有りました。
ただ、子宝には恵まれて、二人の女の子がいました。
恵利華は、二度流産をしていました。
一度は、私が意識不明になったショックですけど、二度目の流産は、不思議なケースでした。
呪詛された可能性を私は棄てきれないでいました。
私の妻の葬儀に、従姉妹の恵理子も来ましたけど、誰よりも嬉しそうな表情をしていた事が不快でした。
初七日に、恵利華の形見分けをしました。
誰が教えたのか知らないけど、恵理子が偶然を装って来ました。
帰れとも言えないから、参加させてやりました。
恵利華は、私がプレゼントしたシャネルのオーダーメイドスーツを3着、ピエールカルダンのスーツ5着持っていました。
これ、着れるから貰って良いでしょ、叔母さん。
恵利華の母親にそう言って、持ち去りました。
そして、惨劇は恵利華の49日法要の晩に起こりました。
恵理子は、恵利華が一度も袖を通していないシャネルのスーツを喪服として着て来ました。
私としては、不快でした。
黒いシャネルのスーツは、それなりの値段がしました。
しかも、ちゃっかり恵利華が大事にしていた純金のイヤリングまで盗んでいました。
精進落としを終えて、各自が車で帰ろうとしたら、雷雨になりました。
私は、自分の車で、恵理子達は、山梨県のグループで帰る事になっていました。
店から出た途端に、落雷で一帯が停電しました。
遠くから、白い影が近付いて来ました。
鬼のような顔をした、恵利華の霊でした。
私は、初めて金縛りにかかり、動けなくなりました。
ピカッ
ドーン
雷鳴と同時に爆音が響いたと思ったら、グチャと言う鈍い音がしました。
その直後に肉片が飛んで来ました。
恵理子、あんたは許さない。
私の子供を返してよ。
あんたに、そのスーツとイヤリングは似合わないわよ。
落雷が恵理子を直撃しました。
しかも、イヤリングに落ちて、顔面は吹き飛びスーツは、ボロボロに破れました。
恵利華の霊は、私に近寄りました。
昌昭さん、こんな姿を見せたくなかったです。
ごめんなさい。
私に、謝りました。
きっと、スーツには、恵利華の念が残っていたのです。
私は、呪文を唱えて金縛りを解き、数珠を握りしめて、恵利華の霊を抱き締めました。
めったに唱えない呪文を唱えました。
恵利華の霊は成仏しました。
しかし、恵理子は自縛霊になってしまいました。
口惜しい。
恵利華が恨めしい。
そう言って、息が絶えました。
その店は、それから幽霊の出る店として、有名になり、客足が絶えて倒産しました。
店主が首を吊って自殺したのは、丁度一年後でした。
今でもその店は残っています。
仕事で、その店の前を通ると、夕方になると恵理子の霊が恨めしそうに、通る車を見ています。