あの時も、こんなに暑い日でした。
もう、20年くらい経つかな?
たまには、昼間の箱根を走ろうと言って、オーナーのフェラーリで三島側の箱根を全力で近いスピードで走りました。
頂上まで、あと少しの所で救急車とすれ違いました。
この先、たまにネズミ取りしますから、ペースダウンしますよ。
6速から、3速までダブルクラッチで徐々にシフトダウンしました。
二車線から、一車線になる所でポルシェが大破していました。
東京ナンバーのようでした。

今は無いけど、箱根の頂上には、おばあさんの蕎麦屋が有りました。
そこは、知る人ぞ知る隠れた名店でした。
私は、偶然立ち寄りました。
初めて食べたときは、余りの美味しさに驚いたくらいです。
カウンターに四人、ボックスが四人がけが二つの小さな店ですけど、いつも客足の切れない繁盛した店でした。
しかし、この時は、私とオーナー以外は、ボックスのカップルだけでした。
なんとなく、暗い感じで蕎麦を食べていました。
私とオーナーは、天ぷら蕎麦を頼みました。
二人で、ポルシェとフェラーリの比較した会話をしていました。
カップルが店を出る時に、男性が一言言いました。
ポルシェは、限界越えたら難しいですよ。
一万円で、お釣りはいらないと言って去りました。
キザなヤツだな。
そう思っていました。
私とオーナーが天ぷら蕎麦を食べたいる時に、知り合いの警察官が二人で来ました。
あれ、昌昭君、偶然だね?
外のフェラーリは、君達のか?
下から来たなら、事故ったポルシェ、見ただろ?
カップルで、乗っていて、飛ばし過ぎたんだよ。
写真見る?
普段なら、絶対に見せない写真ですけど、私とこの警察官は、いろいろと裏の関係があったから、オフレコで見せてもらいました。

写真を見て、私とオーナーは絶句しました。
さっきまで、ボックスで蕎麦を食べていたカップルが血塗れで写っていました。
私達がすれ違った救急車で搬送されている途中に、二人共、息絶えたと警察官に教えてもらいました。
この時ほど、背筋が寒くなった事は無いです。
死んでも食べたい蕎麦だったのかな?