苗字が、和泉から田代になった沙保里。
母親の思い出には、あまり良い事がなかったと私にだけは話してくれました。
養女になって、初めて自分のお金、小遣いを貰ったと嬉しそうに言っていました。
初めて一万円札を見たと言うくらい、沙保里はお金に縁の無い生活をしていました。
叔母夫婦は、本当に沙保里が可愛いのか、毎週のように、面会に来ました。
私の母親もたまに一緒に来ました。
沙保里は、幸福と言う形の無い物をやっと手に入れました。
クリスマスプレゼントを初めて叔母夫婦から貰いました。
ぬいぐるみを初めて貰った沙保里は、無邪気に喜んでいました。
生まれて初めて、ケンタッキーフライドチキンを食べたのも、このクリスマスです。
沙保里、今までは、どういう生活をしていたの?
私は、思わず聞いてしまいました。
本当に、何も無い生活していたんだよ、昌昭さん。
真顔で沙保里は、答えました。
今は、私がいるよ。
そう言ってから、沙保里と唇を重ねました。
沙保里にとって、二度と無い楽しいクリスマスでした。