きょうは、やや硬めの話しよう。
外資系企業で人事課長をしている友人が、「インターナル・クライアント」の鼻もちならない態度に切れている。
「インターナル・クライアント」は外資系企業でよく聞く言葉の一つ。
個人的にたいへん抵抗を感じることばでもある。
つまり、社員にとって、対外的にサービスを提供する顧客がいるのと同様、対内的にもいるとの考えだ。
例えば、マーケティング部門の主要インターナル・クライアントはセールスである。経理と人事など、全社員にサービスを提供するバックオフィススタッフにとって、社員のだれもがインターナル・クライアントである。
私がこの「インターナル・クライアント」というコンセプトを受け入れられないのは、この概念が年功序列と役職レベル以外の「階級制度」と「社内格差」を作り出すからである。
というのも、「インターナル・クライアント」と見なされる者の中に、自分の方が偉いと勘違いし、ついついと「上から見線」でサービスを提供してくれる「インターナル・ベンダー」に物を言う人が現れるからだ。
私がかつて勤めていたコンサルティング会社も「インタナール・クライアント」コンセプトを推進していた。結果として、偉ぶる態度をとる(セールスにあたる)コンサルタントがたくさん出てきた。
さらに、以前働いていた他の会社では、あるセールススタッフが経理部の同僚に、
「僕は君の“クライアント”だ。君の給料は僕が稼いでやってんだ!」とあからさまにのたまった。
その高慢な態度にカチンっときた経理部の彼女は、
「今後、あなた担当の顧客への請求書は、あなた自分で送りなさい」と、彼に言い返した。
そして、二人の関係は犬猿の仲と化し、ついに、業務の遂行に支障をきたす結末となった。
もちろん、セールスが一生けん命ビジネスをとってこないと、会社に収入は入ってこない。しかし、たとえ、どんなハイパフォーマーのセールスでも、売る商品あるいは、サービスを製造・サポートするスタッフがいなければ、存分にその敏腕を振るうことができない。
フロントオフィスとバックオフィスは相互依存の関係である。ならば、企業内に、クライアント VS ベンダーの関係を作り出す意義は一体どこにあるの?
個人の経験から言うと、この「インターナル・クライアント」概念はチームワークの育成を妨げ、職場のモラルを低下させ、企業文化を歪ませてしまう。最終的に、それが企業のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす恐れがある。だから、業績の伸びを望んでいる企業が提唱すべくものは、プロフェッショナルリズムとリスペクトのある社員精神であり、社内格差ではない。
個々がプロ意識をもって仕事に接していれば、自分自身と仕事仲間たちに対するリスペクトが自然に生まれて来るはずだ。