前に住んでいた土地で、

子供たちが通っていた幼稚園の

PTA役員を務めていた時期があった。

その時の同期役員のお母さんから

「同窓会、どうしますか?」と

久しぶりに連絡が来たのをきっかけに、

その役員をしていたころの記録を

探し出して見直した。



やたらと行事の多い、私立の幼稚園で

卒業年度の役員長をしていたので、

その行事数の多いこと多いこと!

遠足や文化祭のバザーや

こまごました日常的な行事の仕切りもさることながら、

卒園謝恩会の記録に特に呆然とする。

卒園記念品の手配や、

卒園式で親子が付ける生け花のコサージュに始まって、

謝恩会の出し物の依頼や練習、先生への記念品の用意、

宴会の食事の手配にビデオレターの作成依頼、

二次会の設定と、これらすべての集金と支払・・・。


この時期は、人に会えば頭を下げまくって

お願いしまくっていたのを

思い出しました・・・・。



記録を見て、

「これやったの誰?

・・・・あたしか。

すごいな私。」

と、思いました。


なんという運営力、行動力、実現力!

たくさんの人にお願いして協力もしてもらっているから

さぞ、人徳もあったんだろう。

そのはずなのに、

このころの私の自己評価は、

何もしなかったのよりも悪いくらい低い。

思い出も、準備でバタバタしている時に

一部の保護者に呼び出されて

「あなたの運営はこれが足りない、ここが出来てない、

あなたは役員長として仕切る素質がない。」と

文句を言われたことを一番憶えている。


「すごくいい行事、謝恩会だった!ありがとう!」と

皆さんに口々に言われてもいたのに。

子供たちがドド泣きするほど感動して喜んでくれてたのに。

ビデオレターを編集してくれた友達が、

その後それを保護者に販売してちょっと儲かっていたのに(笑)。



どうせダメな私が、と思っていたから、

あんたはダメダメだと責められるところだけ

切り取ってスクラップしていた。

だから、私にとって、この時期は

暗ーい黒歴史になっていて

思い出したくもないものになっていた。





それが、思いがけず数年後に

こうして当時の場所からも人間関係からも離れて

見返してみると、

すっごいやん私、

なんでダメなところばかり集めて憶えていたの?

すごいところ、出来るところ、

喜んでもらえた記録もいっぱいあったのに

そこを全部捨てて、

嫌なスクラップをわざわざ作っていたんだ!

と気付いた。




それで気付くと、

今まで

「私はダメなとこばっか」と思っていた歴史が

実は

「嫌なところだけ集めて張り合わせた

黒歴史スクラップ」

だったことが結構多いな、と分かる。






メディアと同じだ。

「あんたはダメだ」と言い張るブラックマスター”私”が

記憶スクラップの編集者をやっていたら、

ダメダメなところばかり取り出して

「ほーらやっぱりあんたはダメだ」という

絵を作る。


それを見て、

「頑張っても頑張っても

ダメだなぁ私」と

思い込んでいただけ。





ルポライターの”わたし”がやってきて

私の行動記録を発掘し、

「・・・あなた、もしかして

いい話持ってない?」と

私の顔を見る。


私はそのルポライターを採用し、

ブラックマスターを即刻解雇した。

新しい編集長「ホワイトマスター」に就任するのは

今の私しかいない。