マウリッツハイス美術館展(2) | Lapislazuliのブログ

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お越し頂ける場所でいられたら幸せです♪

今夜も前回に続いて、マウリッツハイス美術館展のお話しですきらきら

Ⅳ.肖像画と「トローニー」のブースは、エスカレータを上った1階です。
Tronie(トローニー)とは、オランダ語で「頭部の習作」の意味。
特定のモデルはおらず、依頼主もいないため、
画家は想像や理想を膨らませて、内面や性格を思いっきり自由に表現することが出来ました。
一見、肖像画や自画像に見えても、実物に似せて描くことが目的ではないため
「トローニー」は「肖像画」とはジャンルを隔します

夢の国のアトラクションに乗る時のように蛇行した行列に並び
徐々に前に進みながら、沢山の頭の間からチラ見をしながら進んでゆくと
最前列でガラスのケースの中に入った彼女に立ち止まり禁止でご対面が叶います(ぶっちゃけ疲れるw)

『真珠の耳飾りの少女』44.5×39㎝ 

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織り地はないけれど、このマウリッツハイス美術館と同じような
モスグリーンの壁に飾られていますきらきら

モデルはフェルメールの娘のマリアという説もありますが
17世紀のオランダの少女がターバンを身に着けることはありませんでした
こうした描写がなされていることから、絵画的には「トローニー」のジャンルに属します
あとはもう、絵について説明をする必要はないですねあはは。。。

こちらはアンソニー・ファン・ダイクの『アンナ・ウェイクの肖像』112.5×99.3㎝

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17世紀のオランダ絵画の写実性の高さを感じる大きな絵で、
腕のサテンのリボンのシャラシャラとした布地や胸周りのレースの表現など実物そのものでした

フランス・ハルスの『笑う少年』直径30.4㎝の板絵

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この作品もマウリッツハイス美術館の代表作で
「愉快な少年」という性格のタイプを表現した「トローニー」です
観ている私まで思わず笑みになるような可愛い男の子♪

こちらもマウリッツハイスの代表作で最晩年の自画像の1枚
レンブラント・ファン・レイン『自画像』65.4×60.2㎝

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劇場型と言われる彼の絵は、スポットライトが当たったような絵が多いですけれど
窓から差し込むやわらかい光に包まれて、穏やかで静かで落ち着いた印象を受けます
このブースでは、さらにレンブラントやその工房作品の「トローニー」が観られます♪

再びエスカレータに乗って2階のV.静物画のブースから魅了された4枚を♪
左はアーブラハム・ファン・ベイエレン『豪華な食卓』99.5×120.5㎝
右はヴィレム・ヘーダ『ワイングラスと懐中時計のある生物』46×69.2㎝

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こちらはピーテル・クラースゾーン『燃えるろうそくのある静物』26.1×37.3㎝、『ヴァニタスの静物』39.5×56㎝

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実物がそこにあるのかと思わずにはいられないくらいのリアリティに目を奪われますが
プロテスタントの国オランダの絵画らしく、これらの美しい絵画にはたくさんの教訓が示されています。

左上の絵の豪華な食器や食事は、節度を心掛けるようにとの警告をしており
懐中時計も蝋燭も、すべての物や命もやがては朽ちる運命にある時の流れや人生の儚さを象徴していて
頭骨はラテン語の警告「メメント・メモリ(死を忘れるなかれ)」の表現なのだそうです。

光と影の表現に圧倒されるくらいにリアルで詩的なこれらの静物画は
限りある人生を、節度を持って謳歌しなさいと鑑賞者に伝えてくれているのです。

さて、静物画の最後に展示されているこちらの絵はとても小さいですけれど
マウリッツハイスの代表作でもあり、よくよく観てきてほしい作品です

カレル・ファブリティウス『ごしきひわ』33.5×22.8㎝
ごしきひわは、ローマ時代から家庭で飼われてきた身近なペットでした

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1622年にミッデンベームステルで生まれたファブリティウスは1641~1643年にかけてレンブラントのもとで修業し
28歳になった1650年から、フェルメールが生まれ、生涯を過ごしたデルフトに住まいを移しました

しかし、1654年10月12日。デルフトにあった弾薬庫が爆発。
死者100人以上、小さなデルフトの町の1/4がその被害に遭うという大惨事が起きました
ファブリティウスは32歳の若さでこの事故の犠牲者となったのです

現存する彼の作品はわずかに十数点。
さらにデルフト時代の彼の作品は4点しか今日に伝わっていません
この作品はその1点で、没年に描かれた貴重な作品です

また、彼こそがフェルメールの絵の師匠だったという説のある画家で
私はこの説を信じているんですよ♪

そして最後のブースⅥ.風俗画
品のある絵も中にはあるけれど庶民の日常や酒場の絵が多くなると
少し品性に欠けている感があって、ちょっと私の好みからは外れるものも多いのが正直なところですが
その写実性は歴史画や肖像画、静物画などと同様に素晴らしいです

こちらはヘリット・ファン・ホントホルスト『ヴァイオリン弾き』84.5×66㎝

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いわゆるフランドル絵画とどこか違う印象を受けるのは、この女性の衣装と笑顔が理由なだけでなく
彼がイタリアを旅し、カラバッジョの魅力にとりつかれたことが理由だろうと思いました

静かで落ち着いた絵がほとんどななか、この絵は私の目には異彩を放って見えました
あらわにした肌は彼女がおそらく娼婦であることを示しているのでしょう
17世紀では頭の羽根飾りは虚栄と欲望の象徴で、ヴァイオリンは下層の民の用いるものとみなされていました
赤く荒れた両手に、明るく笑う笑顔の裏にある彼女の真実の暮らしぶりを垣間見た気がしました

この流麗で優雅な作風はオランダ国内のみならず国外の王侯にも好まれ、
彼は生涯、顧客に向けて肖像画や肖像画や歴史画の制作を続けたのだそうです

こちらはピーテル・デ・ホーホ『デルフトの中庭』78×65㎝

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煉瓦の建物と、パイプをふかす男性とビールを飲む召使と思しき女性と少女のいる中庭のこの絵は
フェルメールの『小路』と『兵士とワインを飲む女』を合わせたような絵だなぁと思いました

デ・ホーホは1652年から10年ほどデルフトで暮らしており、デルフト派においても重要な画家。
きっとフェルメールとも親交があっただろうと推察されるのですが
この絵が描かれたのが、フェルメールの『小路』と全く同じ1658~60年頃というのも興味深い作品でした

載せきれなかった作品もすべてが素晴らしい作品ばかりで
オランダの知人が送ってくれたマウリッツハイスの日本語版図録を改めて観てみても
いい作品を貸してくれているなぁと思いましたハート。

描き切れていないことも多々ある拙い記事になりましたが
2回にわたるマウリッツハイス美術館展の長い話を最後までお読み頂きまして
本当にありがとうございましたはぁとaya

最後に、この展覧会ではオランダの画家ディック・ブルーナさんの
世界的人気キャラクターのミッフィーちゃんが『真珠の耳飾りの少女』とコラボした
ぬいぐるみとマスコットがミュージアムショップで販売されています

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ウサギ的にイヤリング付ける位置に矛盾を感じたラピたん…顔に縦線え?
そこって、ほっぺぢゃね?とツッコミをいれながら、ちょっと笑ってしまったむふっ。スリッパ