The war to end all wars.

 

 

 今回の授業実践は、「新しい世界史の授業」の私が担当した部分をバージョンアップしたものである。その際に、歴博HPで公開されている東京学芸大附属世田谷中学校の秋山寿彦先生の「「戦争ポスター」を読み解き、「戦争ポスター」を作成表現する歴史学習」を参考にさせていただいた。

 

 第一次世界大戦は世界が初めて「総力戦」という新しい戦争のかたちに直面した戦争である(なお日露戦争は第0次世界大戦と呼ばれているようだ。このことについては詳細が明らかでないので、どこかで調べて記事にしたいと思っている)。総力戦にはあらゆる側面で銃後の協力が必要であった。兵士の募集から工場への動員、食料の節約、そして公債販売と銃後の協力は多岐にわたった。人々が協力した要因のひとつに、街中に貼られたプロパガンダポスターの存在があった。プロパガンダとは、特定の主義・思想についての政治的な宣伝をいう。本時の授業では、生徒にプロパガンダポスターを分析させて、そのうえでプロパガンダポスターを作らせる。全3時間構成の授業を紹介する。

 

 前半部分は『新しい世界史の授業』で述べたように、第一次世界大戦期のポスターを何種類か用意して配布し、グループ活動を通してその読み取りをさせる。前掲書ではポスターを模写させたが、今回のブログでは「目をつぶっている人でも理解できる」ような言葉でポスターについて描写させる。そして次にポスターに描かれたモノやコト、そして文字を観察させる。最後にポスターにタイトルをつけさせる。

    

【ポスターの一例】 

ポスターはDigital Cultural Heritageなどで検索できる。

 

 ポスターにタイトルをつけさせた後、各班に黒板にポスターを張らせてその下にタイトルを書かせて、気になったタイトルを付けた班にその意図を発表させる。ここまでで1時間目が終わる。

 

 2時間目は、生徒にプロパガンダポスターを描かせる。2時間目もグループを組ませるが、グループワークというかたちではなくグループで相談しながらやってもよい、というような意味合いだ。【国債の購入や貯蓄】 【資源・エネルギーの節約】 【兵士の募集】 【戦時下の国民生活】 【戦意昂揚】 といった5つの観点を示して、それぞれの観点に沿ったポスターを描かせる。時間内に書き終わらなければ宿題ということにして、ポスターを描く活動でこの時間は終わる。グループの数だけ色鉛筆を準備しておくといいだろう(余談だが、百均は教材の宝庫である)。

 

 3時間目は生徒が完成したポスターを持ち寄って、気に入ったポスターに投票させる。まずはグループ内で予選を行い、グループで最優秀のポスターを代表に決めさせる。決める際に生徒に評価の基準をつくらせて、それに則って決めさせてるのもいいかもしれない。

 次に各班の代表のポスターを黒板に貼る。生徒には1人1枚ずつシールを渡す(ここでも百均で購入した丸いカラーシールが活躍する)。生徒は気に入ったポスターの下に配られたシールを張り、もっとも多くシールを獲得したポスターがクラス優勝だ。最後に感想を書かせて3時間のプロパガンダポスターを使った授業は終わりにする。