外国に行きたい!!!!
数年前に1人でイギリスへいった。それまで外国に行ったことはなく、行ってみたいとは中学生くらいのころから思っていた。どうせならちょっとでも勉強したことのある英語を現地で使ってみたいと思い、アメリカかイギリスの二択まで選んで、最終的にハリーポッターやピーターラビットでなじみの深いイギリスを行先に選んだ。
エディンバラ空港に降り立って数日滞在したのち、電車で湖水地方に移動してまた数日滞在し、また電車移動でロンドンにいった。合計で1週間程度滞在する旅だった。
今回のブログでは、そのなかでも最も印象的だった大英博物館 The British Museumについて紹介しようと思う。しかし常設展だけでも膨大な数の資料があるため1日ですべてをみるのは不可能といわれている当館である。そのため私の専門分野のローマに関する展示について限定して今回は取り上げる。
大英博物館へのアクセスはロンドン地下鉄が便利だ。詳細は各自で調べていただくとして、上の写真がメインエントランスのものだ。開館と同時に到着し、平日ということもありそんなに混雑はしていなかった。しかし昼時になるにつれて人(私も含めてほとんどが外国人)が多くなっていった。
噂には聞いていたが、本当に入館料が無料でびっくりした。募金箱が置いてあったので、小銭をすべていれたことをよく覚えている。ここに行くために1日フリーにしてあったので、開館から閉館まで力尽きるまで滞在したが、やはりすべては見て回ることはできなかった。
この人物が、私が大学・大学院で研究した2世紀末から3世紀初頭にかけてローマ帝国の皇帝に君臨したセプティミウス・セウェルスである。アカウントの写真にもこれを使っている。彼の治世は、外敵の侵入に本格的に対処しなくてはならなくなった最初の時代であった。北からはゲルマン部族などの諸部族、東からはササン朝ペルシアと国境線に問題を抱える中で、皇帝セプティミウス・セウェルスは軍制改革によって外憂に対抗しようとする。…このことを私なりに証明しようとしたのが卒業論文、そして修士論文であった。いつか機会があれば、当ブログでも紹介できればと思う。
とにかくこの胸像をみたときは感動した。たしかメインエントランスを入ってすぐのところにポツンとローマっぽい胸像が置いてあるな、と思ってみたら!なんと彼で!とても運命を感じた瞬間でもあった。
これもかなり感動した。これはヴィンドランダ・タブレットVindolanda tabletsとよばれる第1級の史料であり、ようするにメモ用紙の残骸である。捨てた場所の土壌がたまたま泥炭で、腐り果てることなく現在まで読める状態で残った。要塞のごみ捨て場に捨てられていたもので、当時の兵士の生活が見て取れるものらしい。日本で西洋古代史をやっていると、生の史料に直接お目にかかる機会はほとんどない。あっても石碑の写真くらいなもので、他の古代の人々が書いた本は、写本の写本できれいに製本されているものを手に取るくらいだ。しかしヴィンドランダ・タブレットはそうではない。これは古代の人間がその手で書き連ねた記録なのだ。
次の写真は石碑である。よく見てみると、削り取られている部分があるのが分かる。これはダムナティオー・メモリアエDamnatio Memoriaeと呼ばれる習慣で、塩野七生の訳によると「記憶の断罪刑」と呼ばれる。セウェルス朝の最後の皇帝であるアレクサンデル・セウェルスと彼の母親ユリア・ママエアの名前が削られている。
塩野七生の『ローマ人の物語』は物語として読めばとても面白い作品で、私もローマ史を研究しようと思ったきっかけは本書であった。そこでたびたび印象的に登場する「記憶の断罪刑」を生で見ることができたのは、とても感動的だった。文字でそういうものだ、と理解することはできても、実際にみることとはやはり違う。まさに百聞は一見に如かずということだろう。
そんなこんなでとても楽しい旅でした。
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