おい地獄さ行ぐんだで!

 

 

 今回の授業実践は、『考える歴史の授業 下』の55~63ページに掲載されている、浅尾弘子氏の「 映画『蟹工船』のラストシーンはなぜ原作と異なるのか 」に着想をえた。この論考において浅尾は映画を生徒に視聴させた後で、生徒の自由な学びの時間をしっかりと確保して、「マンガ蟹工船」の著者と手紙のやり取りをしたことを紹介している。今回のブログにおいて、浅尾の実践とあつかう教材は同じである。しかし浅尾の実践と異なり、今回の授業のゴール目標は過去と現代を結び付けて考える400字レポートを生徒に書かせることに設定した。

 

<授業の展開>

1回目:カムチャッカ漁場につくまで(00分から35分まで:視聴35分)

2回目:カムチャッカ漁場での操業(35分から80分まで:視聴45分)

3回目:ソ連領海での操業から労働者の蜂起(80分から最後まで:視聴29分)

4回目:グループワーク「蟹工船と現代の労働問題」

 

 1回目から3回目までは映画を視聴させる。各回で感想とわからなかったことを最後に書かせて、その回答を次の時間に配るといった方法で生徒の理解を深める。また1回目では小林多喜二と映画が作成された戦後すぐの時代背景について説明し、3回目では視聴後の全体の感想を書かせる。

 今回のブログでは、4回目のグループワークに焦点を当てる。私の勤務校の場合、多くの生徒が大学に入学する。大学生になると、多くの生徒はアルバイトをして労働というものにふれる。そんな生徒たちに、映画という印象的な形で過去の労働問題と向き合わせる。そして現在の労働問題について自ら調べさせてまとめさせる活動を通して、過去と現在とを結び付けたい

 

 4回目の授業では、以下のプリントを使用する。プリントの最初にある生徒の感想を掲載し、クラスで蟹工船を視聴した後の感想を共有する。

 

 次に「映画「蟹工船」にサブタイトルをつけるとしたら、どんなものにする…?」と発問し、その理由についてもプリントに記入させて、何グループか指名して発表させる。この活動を通して映画の内容を生徒のなかに落とし込み、自分の言葉で説明させる。

 全4回の映画「蟹工船」を使った授業の最終目標は、生徒に過去の労働問題と現代の労働問題とを結びつけて考えさせることである。そのために、最後に「現代の労働問題について具体例を1つ挙げて、「蟹工船」の内容を踏まえて、考えたことを延べよ」というテーマで400字レポートを書かせる。

 その前段として、第3の発問では「なぜ蟹工船では労働者が過酷に扱われていたのか」という問題について生徒に考えさせる。Q1とQ2で生徒は映画の内容を自分なりの言葉で端的にまとめる活動をした。そこでは多くの生徒が労働者の問題について触れるであろう。ではなぜ蟹工船の労働者たちは、劇中のようなひどい労働環境で働かなくてはならなかったのだろうか。労働問題の根幹にかかわる部分を生徒に考えさせることで、過去と現在の労働問題の共通項に気づかせたい。安価で経営者にとって都合のいい、使い勝手のいい労働力は、今も昔も使いつぶされていった。それが野麦峠の工女たちであり、蟹工船の労働者たちであった。そして現代の過労死の問題やブラックバイトの問題であり、過去の問題は現在の問題でもあるのだ

 

 

 

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