前任校では座学が苦手な生徒もいたが、それに勝るとも劣らずコミュニケーションが苦手な生徒も多く在籍していた。そのため、考査明けの最初の授業はレクリエーション的な要素をいれた「グループワークの練習」に取り組ませていた。現代社会の教科書にちらっと載っているジョハリの窓を実際にやらせてみたり、トロッコ問題(これには賛否があるとは思う)やNASAゲームをやらせてみたりした。NASAゲームとは、砂漠に不時着したというシチュエーションで生き残るのに必要なものを順番に順位付けしていくという合意形成ゲームだ。これらのワークは企業研修でも使われているようだ。
参考URL:https://heart-quake.com/article.php?p=1256
今回紹介するのは、ペーパータワーという共同作業型のワークで、以下のプリントを配布して実施した。要するに決められた枚数の紙を使って、できるだけ紙の塔をつくろう!という趣旨のものである。生徒はなかなか楽しそうにやっていた。
このようなレクリエーション的な活動は、授業時数がカツカツな学校で実践することは難しいだろう。しかし例えば、前期の答案返却後の授業や試験範囲がおわってしまった後の授業などの余裕がある時間でこのような実践をしてみることをお勧めする。
というのも、高校生のゴールは大学合格ではない。大学で学び、社会で一市民としてよく生きることこそが彼らの本当の目標である。教師の目標も生徒を大学に受からせることになってしまいがちだが、本当は生徒が善く生きるための能力を育成することに努力するべきなのである。今回の実践は、生徒が他者と協力してものごとを進めていくときに必要な能力を訓練する1つの案である。
あなたの学校にも、知識をため込むことは得意でも、コミュニケーションをとって物事を進めていくとが苦手な生徒はいるかもしれない。