1.はじめに

 過去に勤務していた学校では、学力に課題を抱える生徒が多く所属している学校もあった。極端な例ではあるが、考査で沖縄について問うてみたところ「沖縄に原爆が落とされた」と回答してくる生徒もいたほどだ。おそらくこの生徒は、「沖縄→戦争で悲惨なことが起こった→原爆投下だ!」という思考経路をたどったのであろう。

 

 今回紹介する沖縄すごろくを実践する以前は、沖縄事前学習については明石家さんま主演の「さとうきび畑の唄」を見せるにとどまっていた。内容としてはかなり検討の余地があるドラマなのだが、このドラマをきっかけに沖縄戦について検索したと事後アンケートで答える生徒もいたほど、前任校の生徒にとっては適した教材であった。しかしドラマの視聴だけでは沖縄の自然や文化に触れることはできない。

 単純に沖縄の自然や文化に関するレポートを提出させるよりも、生徒が楽しんで自発的に取り組めるような実践はないだろうか。そこで以前に実践した「帝国主義すごろく」をヒントに、沖縄の自然や文化についての調べ学習の一環として沖縄すごろくを実践した(帝国主義すごろくについては近日記事を執筆する予定)。

 

2.実践

 方法としては以下のとおりである。

1時間目

図書室で本(とスマホ)を使って、マス目を考える

2時間目

すごろくを作成

3時間目

すごろくをやる

・最初に自分の班のすごろくを遊ぶ(修正の時間も含めて15分)

・あみだくじで指定した班とすごろくを交換して遊ぶ(10分2セット)

・振り返りシートの記入

 

 白紙の状態からすごろくを作ることは難しそうだったので、サンプルのすごろくを配布した。またテーマについても以下の中から1つか2つ選んで作成させた。

 

自然・食べもの・海の生き物・陸の生き物・歴史

スポーツ・文化・観光地

 

 実践の結果として、いろいろなすごろくが出来上がった。テーマを「海の生き物」に設定し、図鑑をみながら詳細にイラストを描いていた班もあったし、マス目を工夫してなかなかゴールできないようにしている班もあった。

 

3.振り返り

 以下の表は全5クラスで実施した沖縄すごろくの事後アンケートの結果である。おおむね生徒の満足度が高かったことがうかがえる。

①←そう思う そう思わない→⑤

普通の授業より楽しかった

60%

26%

10%

1%

4%

がんばった

64%

19%

10%

2%

5%

班のメンバーで協力できた

64%

18%

10%

5%

3%

班の活動に貢献できた

63%

17%

12%

6%

3%

沖縄に対する理解が深まった

49%

25%

19%

1%

6%

 

 以下に同じ事後アンケートの自由回答欄に生徒が書いた内容を掲載する。上記したように肯定的な意見がほとんどだったが、否定的な意見もみてとれた。

 

《 肯定的な意見 》

・たのしかった。またやりたい!作るのも少し頭使ったような…気がする!授業よりは眠くならなかった!

・調べて何マス進めばちょうどいいか考えたりしながら沖縄のことを知れて面白く学習できた。余白に何か書いていいといわれてうれしかった。めったにない班活動が新鮮で楽しかった。

・図書室で調べてた時に方言が違いすぎて会話が成り立つのか不安になった。でも普通に楽しかったからよかった。

・沖縄のイメージがあまりなかったけど、本などを通して国際通りにこんなお店があるんだなとかいろいろ知れてよかったです。以外とすごろくを作るのが難しかったです。

・班員で協力することで仲が深まった。修学旅行に行かせればいいと思う。

・絵をかいたり、面白い内容にしたり楽しかったし、本を使うのが楽しかったので良かったです。

・上手にすごろくを作れなかったけど、沖縄の料理をいろいろ知れたし、食べたいものも食べたくないものも知れた。ほかの班のすごろくがすごく上手だった。パイナップルパークに行きたい。

・作るのに何にしようかと頭を使い、みんなで作る事が出来ました。沖縄に対する理解が深まりました。

・ほかの班のすごろくをやってみて自分たちのすごろくとまた違って、楽しかった。

 

《 否定的な意見 》

・普通に沖縄の授業がしたいです。

・あまり沖縄について理解できなかった。