ゴミ分別の異常な世界
リサイクル社会の幻想

【著】杉本裕明、服部美佐子
幻冬舎新書 2009年    


     

【内容】裏表紙より
分別すればごみが減り、再生品も増え、環境にやさしいと信じる人は多い。だが現実は矛盾と弊害だらけである。世界一の分別数34を誇る<徳島県上勝町>の哀しき結末から、細かく分けてもリサイクル率が上がらない<愛知県碧南市>、業者と自治体の癒着で収集費に巨額の税金をかける<東京23区>など、日本各地の呆れた実態を徹底レポート。エコ推進の合言葉「混ぜればごみ分ければ資源」を再検証する。


人が生活をすれば必ずなにかしらのごみがでてきます。
ごみの分別・リサイクルについては、
メディアなどでも推進派、懐疑派といろいろな意見が表明されています。
実際、地域ごとに違う分別方法は
引っ越したとき、旅行に行ったとき、実家に帰省したときなど
普段と違う場所に行ったときの困惑をうみだします。
住居と職場でも分別ルールが違ったりすると
毎日もう大変です。

ただ、これは、人口構成や産業構造
地域のあり方が違えば、
適切な処理方法が変わるのは当然といえば当然なので
それぞれに対応していくしかないのでしょう。

先進的な取り組みと紹介されている事例の数々が
見方を変えると決してそうではないということを
あらわしたのが今回の本です。
自治体、住民、関係企業のどこか一箇所だけが悪いわけではなく
制度設計、正しいごみの出し方、利益と
それぞれに問題を抱えることが、ごみ問題をいっそう複雑にしていきます。


これを読むと改めて誰もが納得する方法がないことを実感します。
ごみの分別収集はこれからも試行錯誤が続くのでしょう。
どんな方法が用いられるにせよ、
生活の仕方、ごみの捨て方への意識を高め、
リサイクルするにしても無駄なく活用できるように協力することが大切です。

よい本だと思いますが、
事前にある程度この分野に関する知識がないと
少し読みにくいかもしれません。
ごみは誰にでもかかわりのあることだけに
それがちょっと残念でした。