夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
【著】カズオ・イシグロ
【訳】土屋政雄
早川書房


     

【内容(表紙より)】
ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五編を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短編集。



イギリスにいたとき、本屋さんをふらふらとしているときに見かけた、
カズオ・イシグロの名前。
それ以来、気になっていながら縁がなく手をとることのなかった本。

本との出会いは、縁。
この時期に初めてこの本を手にしたのも何かのめぐり合わせでしょう。

タイトルにもあるように、どの話にも音楽がかかわっていて
読んでいると何かしら音が流れているように感じます。
ヨーロッパの北のほうを舞台にしているためでしょうか、
景色はありありと浮かぶものの、どれも物悲しさが漂います。
この先登場人物はどうなるのだろうかと、ついつい気になるところで
話は終わっているので、余韻が残りました。

夏が終わり、だんだん秋が深まっていくこれからの季節にぴったりの本だと思います。
次は長編も読んでみるつもりです。

【カズオ・イシグロの著作】
         
     日の名残り        わたしを離さないで

          
   わたしたちが孤児だったころ   浮世の画家