33個めの石－傷ついた現代のための哲学

2007年春にアメリカのバージニア工科大学で起こった銃乱射事件を覚えているでしょうか？この事件は加害者が大学内で銃を乱射し、32人が犠牲となり、その後加害者も銃で自殺したという事件でした。

その後、大学構内に犠牲者を追悼するために32個の石が置かれました。
ある日、石は一つ増え、33個となっていました。誰かが、加害者も一緒に追悼するために置いたものでした。これに反発した人により、33個目の石は取り除かれましたが、またその後置かれ・・・ということが繰り返されたようです。

加害者も含めて追悼しようという赦しの気持ち、一方でどうしても赦すことのできない気持ち。
これらの2つの相反する気持ちが大学内の追悼のための石で表現されたことになりました。

　　　　　

この本は、この話題も含め、いくつかの事例について筆者が感じたことが述べられています。

現代は、技術が発展し、人々の生活が変わっていく時代です。
その中で、今までに考えられなかったような出来事がおきることもあり、
人々の心はついていかなくなってしまうこともあります。
一方で、昔ながらの差別や偏見、主義なども残り、難しい時代と感じる人もいるのではないでしょうか。


表装や文章はやわらかいものの、様々なテーマが、自らの心の奥を覗き込むきっかけを作ってくれました。