森の中にそっと置いてある純度の高いアクリルのような小説だった。

本屋大賞を受賞した本作が文庫化されたのを
見つけて、手に取ってみた。




ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。(内容紹介より)



ピアノを弾く機会があまりなかった私に
内容を理解出来るのかな?と読む前は不安も
あったけど、とてもわかりやすく読みやすく
心地よい文章で書かれていた。

調律師は演奏者に比べると影の存在で
演奏の裏にこんな物語があるということを
今まで気にかけたことはなかった。
調律師の仕事はとても奥が深い。

ずっと森の中で、風で葉が擦れる音の中で
本を読んでいるような気分だった。
音の表現の仕方がすごく好きだった。