京都時代、当時の家から程近くの住宅街。道沿いに建つ一軒のお家の前に、だいぶ大きなスヌーピーが立っていました。 

「ようこそ」
と書かれた看板を掲げて、訪れる人々を出迎えていました。

看板の文字はときどき変わりました。
5月は「こいのぼり」。
スヌーピーの服装も春らしい若葉色。背中に鯉のぼりを背負ってました。

3月は「ひなまつり」。
彼はおだいりさまに変身していました。

雨の日は傘をさして、台風の日は傘が飛ぶので、ささずにがんばっていました。


そうやって毎日毎日見ているうちに、どうしても愛着が湧いてきて……
ある日思い切って手紙を書きました。

“毎日、通勤路に立っているあなたに笑顔をもらっています。ありがとうございます。  ご近所に住む女性より”
のような内容をトトロの便箋に綴って、看板に挟みました。

次の日、
ちょっとドキドキしながら前を通った私は、看板を見て胸が熱くなりました。


「お仕事がんばって!! トトロさんへ」


あのようなあやしい手紙に対してお返事をくださった、そのお家のかたのあったかい心に感動したのでした。


今も彼は道行く人々を癒しつづけているのかな。