◎日本神話・稲羽の白兎(いなばのしろうさぎ)
須佐之男命(すさのおのみこと)は出雲に屋敷をかまえ、子孫を多くつくられました。大国主神(おおくにぬしのかみ)は須佐之男命の子とも、六世の子孫ともいわれます。大国主神には大勢の兄弟がいました。ある時、兄弟の神々は因幡(現鳥取県)のすむ八上比賣(やかみひめ)に、求婚しに行きました。大国主神は荷物運びを命じられ、袋を担がされました。一行が気多崎(けたさき)(現鳥取県中央部)に着いた時、皮をむかれた兎が倒れていました。兄弟の神々は、苦しむ兎にいい加減な治療方法しか教えませんでした。しかし、大国主神はなぜ兎が皮をむかれたのかを聞いてやり、適切な使用法を教えてやりました。兎は隠岐島までワニ(サメのこと)をだまして並ばせ、橋がわりに渡ろうとしたもののうそがばれ、毛皮をはがされたとのことでした。兎は八上比賣と結婚するのはあなただと予言し的中したのでした。
【参考文献】
西宮一民「因幡の白兎」(『世界大百科事典』平凡社、昭和六十三年)
西宮一民校注『新潮日本古典集成 古事記』(新潮社、昭和五十四年)
山口佳紀・神野志隆光編『新編日本古典文学全集(1)古事記』(小学館、平成九年)
出雲井昌『にっぽんのかみさまのおなはし』(産経新聞社、平成十一年)
鈴木三重吉『古事記物語』(角川ソフィア文庫、平成十五年)
本澤雅史「神話を語る」(『鎮守の森を保育の庭に』上巻、株式会社学習研究社、平成十三年)