「斎(いは)ふ」と「斎(いつ)く」 | laphroaig-10さんのブログ

laphroaig-10さんのブログ

ブログの説明を入力します。

◎斎ふ(いはふ)

font>
 『日本国語大辞典』(小学館)には、 次のように意味をまとめていました。

【一】(斎)
①けがれをきよめ、忌みつつしんで、よいことを求める。たとえば、後に残った者が、現状をかえたりせずに、精進を守って、外に出た者の安全を祈るなど。
②吉事を求めて、神事をおこなう。呪言をとなえ、捧げ物をして、幸せを念ずる。
③神がその力をもって、人の幸せを守る。
④神聖なものとして祭る。神としてあがめる。「いつく(斎)」と似た意味となる。
⑤(④の意味から)(貴い身分として)たいせつにする。かしずく。秘蔵する。

【二】(祝)
吉事を祈り喜ぶ。呪術の一つで、祝福すると、その通りの状態が現われるという信仰に基づく。
①将来の幸運をいのる。また縁起のよい事をいう。
②めでたい物事について、よろこびの気持ちを、改まった言葉や動作で表わす。
③(祝福するために贈り物をする意から)物を贈る。祝儀の金銭を与える。

《語誌》
(1)原義は潔斎して呪術を行なう意。万葉集では斎・忌の字をあてる。……
(2)類義語イツクは祭り仕える意。……
(3)イハフは平安時代以後大切に守る意から祝福の意が生じ、後世はもっぱらこの意で用いられるようになる。

◎斎く(いつく)

【一】汚れを忌み、清浄にして、神に仕える。

【二】たいせつにする。かわいがる。

《語誌》
(1)「いつ(厳)」(神聖なものの威力)の派生語で。本来的には潔斎して神へ奉仕する意味。
(2)類義語に「いはふ(斎・祝)」「いむ(忌)」「まつる(祭)」がある。徳に「いはふ」との意味上の区別は難しいが、古代では、「いつく」は対象をあがめる面が強く主に神官の行為にいい、「いはふ」は吉事を招くという目的の面が強く、一般人の行為にもいう。
(3)「いつきのみこ(ひめみこ)」(斎皇女)などは原義を残す用法だが、平安朝の物語では転じて、一般人が対象をあがめるように大切に崇める意が生じ、「あがむ(崇)」「うしろみる」「かしづく(傅)」に近接してくる。

●西宮一民先生『上代祭祀と言語』(平成二年十月、桜楓社)「マツリの国語学」


マツル……神に物(御酒・御食・幣帛など)を献(たてまつ)る。それが「神を祭る」こと。
イツク……特定の人物や氏族が身を清浄にして、特定の神に仕える。
    「斎突く」 イツクのツクと「仕フ」は同一語源。
イム……神聖な事柄において、してはならないことをしない、禁忌(タブー)を守る。
イハフ……吉事を求め、神聖に行動する。
 ①吉事を求め神祭りをする。
 ②神が人間を幸福・安全に護る。
 ③人間が将来の幸福・安全を予祝する。

</