僕らが参加したトレッキングツアーは、
日本人がほとんどいない外国人チームだった。
そのなかに、ジョニーとキングという
いかにも悪そうなアメリカ人兄弟も参加していた。
そのアメリカ人兄弟の荒くれ話はまた別の機会にして、
トレッキングツアーとは、読んで字の如く、
あの蒸し暑いタイの気候の中で、
山林をトレッキングするというツアーなのだが、
大きな問題が待ち受けていた。
僕らが参加したツアーは2泊3日のツアー。
にもかかわらず、その期間中、シャワーも浴びれないのだ!
まあそれは大した問題ではない。
問題はトイレだった。
1日目の駐屯地にはトイレがなかった。
まさかの野っぱら!?
女性もけっこういるのにこれは大変だ。
でも、明日に延期したらいいか。。。
明日は、リス族の集落に行くというから、
まあ明日は大丈夫だろう。。。
そして、翌日、土砂降りのスコールのなか、
道なき道というか、まさに山林のなかを
象の背中にまたがって、リス族の村に向かった。
着いた頃には、すっかり雨も上がり、
リス族の子供たちも歓迎ムードで、
さらに、なんとそこにはちゃんとしたトイレがあった。
しかも、みんながいるところから少し離れた場所。
ちょっとした丘の上に立つそのトイレはまさに輝いて見えた。
僕はそのトイレに向かって、足取り軽く向かった。
そして、意気揚揚とまたがったときに
ふと気が付いた。
そのトイレは納屋みたいなものでできていて、
その囲いはだいたい脇の下くらいの高さだろうか。。。
しかも、丘の上に立っている。
つまり、立ってれば、そこにいるということが遠くからでもわかり、
逆に座っていると、2メール前まで来てやっと、
初めてその存在に気付くというわけだ。
でも、みんがいる集落から30メートルはある。
そこから歩いてここにたどり着くまでには、
けっこう時間がかかるし、
そんなにひともいるわけじゃないから、とりあえず安心だろう。。。
まあとにかく事に集中しよう。
でも、そんな集中力は、2分も経たないうちに
打ち崩され、それは危機感に変わった。
かすかに足音がする。
「こっちに来ないでくれ!」
そんな内なる声は神様には届かず、
だんだん足音は増していった。
確実にこっちに近づいてくる。
終わらせるのだって中腰にならないといけないし、
というか、その時点で見られちゃうし、
その姿ってある意味、最中よりも嫌だし・・・みたいなことが
頭を駆け巡る。
否応なしに足跡は近づいてくる。
そして、前もって言えば、
この話にまったくもって「落ち」はない。。。
どっちもやばい。。。
感覚値で20メートル、15メートル、10メートル。
人間というのは、不思議なもので、
もう逃げようがないというときには、
逆に不思議に思考がポジティブになる。
「いぁや、なんだかんだ言ってトイレじゃなくって、
違うとこに向かってるんでしょ。。」
なんて、思考回路が無理矢理違う方向に仕向けるのだが、
実際、僕のいるトイレ周囲30メートルにこの『トイレ』以外何もない。
あっ、、、
手を挙げて振ればいいんだ、
そしたら、こっちの存在に気付いてくれる。
なんて単純なことに、
パニック状態のときにひとは気付かないものだ。
その距離、4メートル。
もう限界だ。
男たるもの男気が命。
僕は意を決した。
最中に殺られるより、攻めに出よう!
僕はおもむろに立ち上がった。
そして、あの荒くれもののキングと目が合った。
「この間(ま)の悪い男はキングかよっ!」
と思いながらも、
英語を一切しゃべれない僕は、無言で、
21年間の人生のなかで最高といえるほどの満面の笑みを、
僕はキングに投げかけた。
さすがに、あの荒くれ者のキングも、
4メートルという至近距離で、
誰もいないと思っていたトイレから、
急に現れた日本人に満面の笑みを投げかけられ、
きっと動揺したのだろう、
「oh!How do you?」
さすがに、この状況で、
ハウドゥードューはないだろうという気持ちと
『勝った!』という優越感と満足感のなか、
僕は満面の笑みを浮かべたまま、何も応えず、
スローモションのように自然に本来あるべきフォームに戻った。
そうして、象に乗ったり、イカダに乗ったり、
イタリア人中年夫婦の倦怠期やステファニーとジョーンの恋愛など
いろいろなあったトレッキングツアーは幕を閉じた。
(つづく)
翌日、チェンマイの街をバイクで疾走している僕らは、
タイコップ(タイの警察官)の襲撃に合うのだが、
それはまた別の機会に。
ちなみに、ブログは、
お酒を飲んで、もう仕事をするべきではないというときに
書いているため、
誤字脱字や内容自体くだらないということもあるかと
思いますが、こういう話はきっと、
「スーパー店長」は嫌いじゃないと思い、書きました。
意味わからないかもしれませんが、
酔っ払っているので、私もわかりません。