昨晩神奈川県西部で発生したM5.3 最大震度5弱の地震。
南海トラフ地震臨時情報の『巨大地震注意』の発表がなされた翌日に発生した大きめの地震だった為に肝をつぶした方も多かった事と思います。
今回の地震は日向灘での巨大地震とは無関係との発表が出されましたが、2021年のNHK特集の中で発表されていた研究結果を思い起こしました。
南知大学の田部井教授が全国1200か所のGPS観測点の移動状況を1ミリ単位で観測した結果、関東の南海上において複雑な動きを見つけていました。
下図中の赤い矢印が観測点の移動量と移動した方向を示しています。
伊豆諸島近海では観測点が北へ移動しているのに、同じフィリピン海プレート上にある伊豆半島は観測点が西に移動していたのです。
更に伊豆諸島の南海上にある銭洲岩礁の観測点も西に移動していました。(図中の黄色矢印)
この観測点の動きから、田部井教授は北へ移動しているフィリピン海プレートがユーラシアプレートとぶつかる際に、伊豆半島が邪魔をしてしまい伊豆半島の東側に新たな亀裂が形成されてきているのではないかと仮定していました。
それが図中の点線部となります。
これが新たな南海トラフ想定境界線となりうるのではないかというものでした。
この点線の終点付近で昨日の神奈川県西部地震が発生しているのです。
新たな想定境界は従来の南海トラフ想定境界線より東へ50キロ程関東へ近づいたものとなります。
常葉大学の阿部准教授がこの新たな想定境界線に基づいて南海トラフ地震発生メカニズムをシミュレーションした結果、従来の国が想定した想定境界線(図中の赤い実線)東部でM8クラスの地震が発生すると、高さ10メートル以上の津波が凡そ1時間余りで関東へ到達するというものですが、東へ50キロ移動した新たな想定境界線東部で同クラスの地震が発生すると神奈川県藤沢市や鎌倉には僅か14分で津波が到達するという結果が出てました。
これらの事が単なる偶然の一致なのかはわかりませんが、頭の隅には置いて今後の防災行動や防災準備はしておいてもいいと思います。
ただ単に恐れるのではなく、心的、物的準備を万端にしておくことで少しでも心にゆとりを持たせたいものです。