Tele初の全国ワンマンツアー、祝/呪。幸いなことに、僕はTeleと一緒に全国を回ることができた。この祝/呪で自分の感動したこと、愛おしかったこと、心に刻み込んだことを書くエッセイみたいなものにしようと思う。このライブを振り返って、すばらしさをかみしめて、いつまでも忘れない思い出とするためにこのブログを書きます。いつもと雰囲気が違う文章になりますが、ライブを思い出せるような文章を心がけます。

  イブ概要

2023年に行われたTeleの初の全国ツアー「祝/呪」は、6都市7会場で開催された。

09/28 札幌 PENNY LANE24

10/03 名古屋 Club Quattro

10/05 仙台 Rensa

10/11 福岡 Beat Station

10/13 大阪 なんばHatch

10/15 東京 Zepp Shinjuku

12/01 東京 Zepp DiverCity Tokyo

  ットリスト

01.ことほぎ 02.夜行バス 03.ロックスター

~MC~

04.私小説 05.Véranda 06.東京宣言 07.花筏

~Short MC~

08.New born ghost 09.鯨の子 10.金星 11.新曲(ホムンクルス)

~花瓶発声練習~

12.花瓶 13.comedy 14.バースデイ 15.ghost

En1.新曲(初恋) En2.生活の折に

 

  ポートメンバー

Gt. 馬場庫太郎(NENGU) 

Key. 奥野大樹 

Ba. 森夏彦(THE 2) 

Dr. 澤村一平(SANABAGUN.)

(Zepp DiverCity公演のみ森瑞希)

 

  

 

「祝く」と「呪く」はいずれも「ほさく」と読む。元来から祝いと呪いは表裏一体である。このツアーはその名の通り、祝いと呪いがテーマになっている。Vol.1では、祝/呪というタイトルに沿って、ライブ全体のダイジェストを書こうと思う。Vol.2以降では、各曲・各公演の感動したことを詳細に書く予定である。

 

 自分に向けられた祝いは、時に呪いに感じる時がある。愛されること、期待されることは、自分の在り方を外的に操られるように感じる時がある。

 

 ライブ開始前のSEの音量が大きくなって、次第に止み、照明が暗転したとき、大きな拍手が沸いた。この瞬間、心拍数は最大値を迎える。サポートメンバーが登場し、音楽が流れ始める。Teleの数曲の1フレーズが、聞こえてくる。無人のマイクスタンドをスポットライトが照らし、「祝い。」と語りが始まる。「応援してるよ。失敗するなよ。」「愛してるよ。一生離さない。」「香水新しくしたよ。私を忘れないで。」「地元最高。そういうしかなかった。」そこら中から聞こえる呪いの声からライブが始まった。ダイバーシティーの最高の演出はDiverCityのところで話すことにする。この演出から始まる「ことほぎ」は、このライブのメッセージ性が凝縮された、衝撃の幕開けだった。「もう間違っていいんだよ。 理屈の外で僕は待ってる。」は、彼のこのライブを始める宣言に思えてくる。この曲の「今は、ばいばい。」のところ好き。親友が引っ越して遠くにいっちゃう時の駅のシーンがイメージできる。 「拝啓〜」では少し未来の自分と親友に手紙を書いてる。素晴らしい過去に戻れないから、未来を変えていくって、過去を土台にしてしか存在できない未来に向けて2人進んでいくって、決意してる。ラストのフレーズを歌う彼の表情は、そんな清々しさを表現していて大好き。

 

 ギターフレーズがかっこいい「夜行バス」はバンドとしての完成度が高くてめちゃくちゃ好きな曲。「眠いときに眠れないから 楽しい時には歌いたいから」でめっちゃ楽しそうなステージ上の人たちが尊い。何度聴いても2番のギターフレーズで泣けてくる。

 

 ロックスターの始まりでは会場名を言い、観客席とやりとりする姿が見られた。観客が元気に声出しする姿に呼応する喜多朗の笑顔はいまでも鮮明に思い出される。「Ah ロックスター」の観客の大合唱はTeleに向けての観客の愛が前面に押し出されていて大好き。「とっくにお前はさ誰かにとって奇跡なんだ」と、会場のみんながTeleを賞賛するような一体感が素晴らしかった。

 

 次の「私小説」の前には会場ごとに違う内容のMCがあった。心打たれるMCは、観客をひとまとめにして、手拍子は喜多朗のMCを歓迎するように聞こえてきた。最後のジャンプ前の煽りは、シンプルかつ美しく、身体が勝手に動き出すようだった。フェスでは皆勤賞であったが、ワンマンでやるこの曲は熱量がもう一段階上がっている感じで最高。一方でVérandaは、フェスではあまりやってこなかった曲であり、多くのファンにとって久々に聞く曲だったと思われる。「愛はここにあんぜ」って叫べたのも最高だったし、サビで手を振ることができてよかった。サビの最後の、喜多朗の「美しい」「ありがとう」は何よりも嬉しい。

 

 「東京宣言」は、ワンマンでしか披露されていない曲だ。この曲は喜多朗のTeleとしての決意が感じられる曲だと思うし、祝/呪で聴いたこの曲も彼のギターを持つ立ち姿がかっこよく映える曲だった。「風が声の居場所を奪うなら、僕は愛を突き刺すだろう。」流行りの風が個々の愛の声を奪う世界でも、愛を叫ぶという「強さ」を感じる。

 

 「花筏」は未リリース曲である。「僕が呪いになる前に、君を愛したい」というフレーズは、祝/呪という曲のコンセプトにぴったりであると思われる。愛し続けて、それが本人に伝わった時、僕は君にとって呪いになってしまう。そんな人間関係の葛藤を美しく曲なんだろうなって思う、早く歌詞が読みたいな。

 

 次の弾き語り曲New born ghostはTeleはファンに対して「特別なものにして欲しい」って感じているのだと思う。「知っている人は知っている曲をやります」と一言いって始めたこの曲の発表方法に反映されている気がする。「簡単に生きてみなよ、簡単に死んじゃうからさ。」今思うと、呪いから脱出しようって曲なんだろうと思う。あたりから無数に伸びる呪いの世界へ引きずろうとする手から抜け出して、元の魂がない亡霊となって"New born ghost"として生きていこう。うまく表現できないけどこういう曲だと思う。そしてこの曲は、ライブのもう一つのテーマであり核心である「一旦自分を殺して、自分の葬式をして、呪いを全部消して、またはじめよう」っていうメッセージが詰められてるのかなって思う。

 

 New born ghostが終わって静かになったところからの、鯨の子のイントロは本当に美しくて、毎回見惚れてしまう。この曲は落ちサビ「君のタフさに全てを委ねないで」がTeleの心の底からの語りを聴いているようで本当に大好き。「自由を愛することをやめないで」という呪いからの解放への誘いと、「賢いなんて決して言わないで」という他者の評価からの脱出、「眠れない夜は君のせいじゃない。外の風が強すぎるだけ。」と呪いの正体が所詮外の世界であるという表現がすごく大好き。この曲の喜多朗の手の表現がめちゃくちゃいい。「沈んでいく」とか、「スニーカーでどこへ行けばいいだろう」とか。

 

 続く金星は、ギターの庫太郎さんと対面してギターを弾くイントロが印象的だ。「もう僕は間違いでもいいよ」のところを「街中が輝いていくようだ」と歌詞アレンジしていた。この部分、MVを見ながら是非この歌詞を口ずさんで見て欲しい。想い人といる外の世界が美しくて、盛り場から夏の夜に転がる感じを想像して「最高だな〜」って思っている。

 

 「新曲やります」とともに聞こえてくる夜行バスのようにギターフレーズで始まる曲はのちにリリースされた「ホムンクルス」である。最初聞いたとき、雰囲気が好きな曲。最高だって確信した。特にラスサビの疾走感が好きで、リリースされるのが楽しみだったので、発表された時は最高に嬉しかった。そして、歌詞を知らない状態で聞くのと、知っている状態で聞くのとでは大きく違った。世界全体で見たら、人造人間(=ホムンクルス)みたいに誰も同じに見えて個性がなくても、自分の世界の主人公であればいい。みたいな主張が聞こえてくるようですごく勇気付けられる曲だ。「私」に向けられた「声」の呪縛は、「声」の主から見たらロボットに向かって言っているようなものだから、そんな呪いは脱ぎ捨てていいんだよっていう強さを感じる曲だった。この曲を祝/呪というツアーで初披露するの天才だと思う。

 

 花瓶の声出しは、「さすがワンマン」っていう素晴らしさの公演が続いた。会場ごとのかっこいい煽りの後、ファンたちの最高の合唱を経て、"This is our song, 僕たちの曲です."で始まるこの曲には何度も感動させられている。「割れたガラスの上を君は裸足で歩く必要はないよ」「割れたガラスの上を君は1人で歩く必要はないよ」がコールアンドレスポンスみたいになっているのが好き。僕たちファンはいつだってTele飲み方だし、Teleはいつも僕らの味方をしてくれる。次のcomedyで会場のボルテージはさらに一段階上がる。初めてのワンマンライブからいまに至るまで、ライブの盛り上がりの主役はずっとこの曲だと思う。「全て喜劇に変わるはずなんだ。」という吹っ切れた感情はいかにも「祝/呪らしい」と言える。「ベタなバナナも悪くない!!」の一体感最高!!!

 

 「バースデイ」はまさに「一旦自分を殺して、自分の葬式をして、呪いを全部消して、またはじめよう」という曲で、呪詛の外側へ行こうって曲なんだろうと思う。「僕らに明日などないんだぜ。いますぐ何かを変えようぜ。」って大好き。そして、恒例のバンド隊紹介の煽りや盛り上がりは本当に最高。各バンドメンバーとの唯一無二の絡みが好き。軽快やベースソロを笑顔で刻む夏彦さん、お父さん見たいに見守り最高のフレーズを刻む奥野さん、喜多朗の激煽りに応える庫太郎さん、各会場で全く違うノリを観客に与えてくれる一平さん、最高のリズムで全楽器のアウトロに美しく繋ぐ森瑞希さん。どれも最高だった。

 

 ghostはワンマンの最後の曲の定番になってきた。孤独感の悲壮感が漂う曲なんだけど、最後の「僕が花を咲かそう」という歌詞は、喜多朗のTeleとしての決意を感じられて大好き。僕らファンに向けて花を咲かそうって言ってる感じで、本当に感動する。メッセージ性がすごいTeleのライブの最後にふさわしいなって思う。"My life is ghost."亡霊のように、簡単に生きて行こうと思う。人生にある呪いから回避して生きて行こう、という決意の曲なんだと思う。

 

 アンコールのMCの観客との絡みはワンマンならではで好き。アンコールの1曲めを予想させるくだりの観客の反応が毎回違うの最高に好き。そこから始まる新曲「初恋」は縦ノリが美しい曲という感想だった。追加公演の直前にリリースされたこの曲の歌詞を見てみると、呪いの曲だなっておもう。「初恋のようにワクワクしている状態における、理想と現実のギャップが生む感情の残渣は、午前3時の自分の部屋で1人泣くような感情を生む。その感情は、別の感情に覆いかぶさる呪いである」ってことを言っているのだと思う。でもその呪いは、初恋のように甘酸っぱく美しいんだと思う。「ことほぎ」で始まってアンコールでこの呪いの美しさを歌った曲で終わる「祝/呪」というライブは本当に天才なのだと思う。

 

 最後は「なんでもない時に書いた曲をやります」「18歳の時に書いた曲をやります」という言葉とともに、生活の折にという曲をやった。これはワンマンライブの最後に定番の曲だ。「なんでもないまま 誰かになっても 〜 あなたはあなたのまま」。喜多朗はTeleとして最高のロックスターになった。それでも彼らしさを失っていないんだろうなあ、と想像できて好き。「さらば、全ては君の自由だ」は祝/呪の終わりに最高の言葉だと思う。

 

 総じて、本当に最高のライブだった。次のブログで各公演の最高だったエピソードを書いて行こうと思う。本当に美しく呪われました。本当にありがとう。大好きTele。