唐津くんちの出店で、とても思い出深い店がある。
それは確か、小学3、4年生くらいだったと思う。
しかもその年に一度見たきりだ。
その店は神社の社務所の脇、
人目につかない場所にあった。
あったという言い方は、少しおかしい。
社務所の脇で、子どもたちが群がっていたのだ。
なんだろうと思い近寄ってみると、
その中心に少し小汚い身なりのおじさんがいた。
彼はくじの箱を持っていた。
しばらく観察していると、
その店は現金が当たるくじ引きをしていたのだ。
1回200円。
ハズレだと何もない。
小当たり200円、中当たり500円、
大当たり1000円だったと思う。
私より小さい子どもたちがくじをしていたが、
ほとんどがハズレ。
たまに小当たりが出るくらい。
当然子どもたちから、大当たりとかは入ってない
んじゃないかと不満が出る。
するとおじさんが、「そんなことはないさ。
当たりは必ず入ってるよ」と言い、
おもむろにくじの箱の中に手を突っ込む。
くじを1枚取って開けてみると、
1000円と書かれてあった。
「ほらね」とおじさんは言い、にやりと笑った。
すると子どもたちから「おぉー!」という歓声が
湧き、また我先にとくじを引き始める。
子どもながらに、怪しいと思った。
ずっと観察していると、おじさんが引く時は、
必ず大当たりか中当たりを引く。
いよいよ怪しいと思った。
そして子どもたちは誰一人として、
大当たり、中当たりを引くことはなかった。
そして1回もやらずにずっと見ていた私は、
「見ているだけでやらないなら帰れ」
とおじさんから追い払われた。
今ではこういう胡散臭い露店は、
もう見ることはできないだろう。
昭和の懐かしい思い出である。