父から聞いた話。
いつものように夕飯が終わり、
のんびりテレビを見た後、父は床に就いた。
真夜中のことである。
突然、「ドロボー!ドロボー!」
という野太い大声で父は飛び起きた。
あたりを見渡すと、誰もいない。
隣で寝ている母が叫んでいたのだ。
どうやら夢を見ているらしい。
父は母を揺り動かし、無理矢理起こした。
母は無理矢理起こされて、機嫌が悪かった。
「ドロボー!ドロボー!と叫んでいたぞ。
怖い夢でも見ていたか?」
父がたずねると、
「そんな夢は見てない。」
と母はぶっきらぼうに言い、また寝てしまった。
真夜中に母が夢を見て、大声で叫ぶ。
結婚してからというもの、そういうことが
度々起こり、その都度父は飛び起きたという。
父にこころから同情した。
そして父をこころから尊敬した瞬間であった。