二人の母 | 『こころとからだと人と自然と。』

『こころとからだと人と自然と。』

人生5回も死ぬ目に遭えば、否が応でも強く、しなやかになる。
人生を楽しみながら歩く錦ちゃんのブログ。

こんばんわ、蒼です。







唐津には天然のミネラルウォーターが湧き出ている所があります♪







今日もそこへ水を汲みに行った時のこと。







先客がいたので、







「こんにちわ~」







と挨拶しましたが返答ナシ…







60代くらいでしょうか、女性の先輩です。







先輩はとても怒ったような顔つきで







20本くらいペットボトルに水を注いでいました。







「あんた!1本やろうもん!汲むねっ?」







しょっぱなからまるで喧嘩腰です^_^;







「僕はどちらでもかまいませんよ」







「ふん!じゃあ待っとかんね!」







20本を汲むには結構な時間があります。







気がつけば先輩の身の上話になっていました。







「あたしゃーね、トマト屋もしよれば、梨屋もしよるとばい!」







「やる気になれば、仕事は何だっちゃやれると!」







「はい、そうですね。」







「あたしゃー親に3回捨てられてくさ、







最後には親戚の農家に引き取られたと!」







「あたしゃー『鉛筆を下さい』って言ったばってん、鉛筆も買おてもらえんかった!」







「戦後でなんもなかったし、そこも子供が5人おったけんね!」







「それは大変でしたね・・・」







「小学校しか出とらんばってん、子供は3人作ったとばい!」







「ばってん旦那は早うに死ぬし、長男は18年間ずっと入院生活たい!」







「大学病院に入院したら、1カ月の入院費が70万ぞ!」







「ほんとですか?!」







「ほんとくさ!そいやけん、下の2人はまだ小さかったばってん、







 あんたたちは怪我もしたらいけん、病気もしたらいけんぞって言ってきかせた。」







「そら、あたしも男みたいになるわ!」







「それで長男さんは?」







「脊髄にウィルスが入ったったい!それで脳味噌はぐちゃぐちゃ」







「そいでも自分が親に見捨てられたけんね、息子はほっとけんかった・・・」







「そうですか・・・」







「そいやけん、あたしゃー地獄のような生活ば潜り抜けてきとると!」







「そのあたしが作った梨は美味かさ!」







「千円払うて食ってみんね!」







「じゃあ頂きます」







先輩は試食用の梨を食べさせてくれた。







「これ美味しいですね~」







「そりゃあ美味かくさ!千円と言わず2千円くらい買うとかんね!」







「じゃあ2千円でお願いします」







先輩は準備をしながら、また話し始めた。







「下の2人はちゃんと手に職つけて、嫁さんもろうて、自分の家まで建てとる。」







「立派な息子さんたちですね」







「『あんたたち!男はキン〇マついとるやろ!







 しっかりせんといかんぞ!』って2人に言って聞かせよったけんな!」







「そうですか~」







「18年入院しとった長男も去年死んださ・・・」







「心臓が止まって、先生が心臓マッサージしよらしたばってん、







 『18年も息子も苦しんだけん、もう十分です』って言って先生の手を払いのけた。」







「そしてあたしは次男に電話して『長男が死んだよ。あたしが殺した。』って話した。」







そこまで聞いて僕は涙をこらえきれなくなって、涙を流しながら聞いていた。







「あたしはあんたが泣いてくれるだけで、嬉しか。」







といい、車からぶどうを持ってきて、







「これも持っていかんね!」







「ばってん、あんた!男は涙は人前で見せるもんじゃなか!」







泣けばよかったのか、泣かないほうがよかったのかどっちだよと思った。







この話を自分の母に話した。







話した後母は、







「家族にはいろんな家族がいていいと思うし、うちは商売しよるからね・・・」







「ん?何をいいよるの?」







と僕が尋ねると、







「あなたは私を愛情なく育てたといいたいのでしょう?」







と母は答えた。







「俺が話の中で一度でもそんなこと言った?」







「言ってはいないけど・・・」







「俺はただ自分が感動した話をして、そういう人が作った愛情いっぱいの梨は







 美味しいよねって言いたかっただけだけど・・・」







「じゃあ私がひねくれたものの考えしてたのかね~」







このやり取りをしていて僕はとても悲しくなった。







悲しかったけど、母は僕にいろんな示唆を与えてくれる。







そして心を鍛えてくれている。







どちらの母も素晴らしい。



$未熟者でいいじゃないか