空が白み始めたころ、ようやくわかってきた。
妹は小さいころから強かったし、しっかりしていた。
僕と妹とは3歳離れているが、僕は体が小さく妹は大きかった。
僕は運動が苦手だったけれど、妹は活発で運動が得意だった。
妹は大学の頃拒食症になり、それがきっかけで自分を見つめ直した。
子供の頃とても寂しい思いをしていたこと、
そして誰も守ってくれなかったこと。
だから強くなるしかなかった。
家族は誰一人としてそのことに気づかなかった。
妹は自分の心を見つめ直し、
そしてうちの家族の根底にある問題に気づいた最初の人だった。
それから妹は心を大事にして生きていく道を選んだ。
家族を大切にしていく道を選んだ。
そうやって生きてきた妹は、自分よりずっと強い人間だと思っていた。
初めから強い人間だと思い込んでいたのだ。
しかし、今までの言葉の数々を思い返してみる。
果たして妹は強い人間になりたかったんだろうか?
本当は妹は強くなりたくて強くなったんじゃない。
誰も守ってくれなかったから強くなるしかなかった。
本当は強くなりたくなんかなかった。
これが妹の本心なのではないだろうか?
そのことに家族が誰一人として気づいていない。
そういう中で妹はどんな思いをして過ごしてきたのだろう。
どんなに悲しい思いを、寂しい思いをしてきたことだろう。
あぁ妹が言う通り、俺は何もわかっていなかった。
わかったつもりになっていただけだった。
何故俺はこのことに今まで気がつかなかったのだろう。
ほんとうにどうしようもない兄貴だ。
僕は涙を流しながら、妹に詫びた。
妹も涙を流しながら聞いていた。
妹の顔はまるで菩薩様のような、とても柔らかい表情になっていた。
つづく
