その夜母と妹が通夜での話をしていた。
僕はそれを遠くの方から聞いていた。
「おばちゃんにね、娘さんがいらっしゃって、その人と話してきたよ。」
「娘さんがいたのね。知らなかった。」
母もあまりおばちゃんのことを詳しく知らないのだ。
「おばちゃんはね、娘さんに私たちのことをいろいろ話してくれてたみたい。」
「その話を娘さんから聞いたら、私たちはすごくおばちゃんから大切にされてきたんだって感じたの。
今までそんなにおばちゃんが私のことを思っててくれてるなんて思ってもみなかった。」
その話を聞きながら、今更わかったのか?と思っていた。
「お兄ちゃんもいけば良かったのにね。」
「すごくお世話になったのに・・」
そんなことは百も承知だ。だからこそ、毎日感謝してるんじゃないか・・・
そう思いつつ、僕は大学生時代を思い出していた。
その当時、東京の大学に行っていて、部活にも入っていた。
だから実家へはほとんど帰ってはいなかった。
実家へ帰ってもその実、家にいることもほとんどなかった。
地元へ帰れば、久しぶりに会う友達と毎晩のように飲みに歩いていたからだった。
そんなある日、おばちゃんと久しぶりに話す機会があった。
「あっちゃん、久しぶりね~。元気にしとるごたるね。」
「うん。おばちゃんも元気そうやね。」
「そうね。たかちゃんも頑張りよらすとよ。」
そこから妹や弟の話が始まり、妹が小さい頃はどうだったとか、
弟が小さい頃よくいたずらをしていたとかの昔話が始まった。
おばちゃんは妹や弟の話をとても楽しそうに話していた。
しかし自分の昔話はほとんどしてくれない。
まぁしょうがない。
おばちゃんが来た時には、僕は小学生になっていたし、おばちゃんはおばちゃんでしかなかったのだ。
しかし、妹や弟はまだ小さかったので、「おばちゃん、おばちゃん!」ととてもなついていた。
おばちゃんもなついていた2人がかわいかったのだ。
だから2人の話しか出てこないんだ。
つづく