先日、近所のスーパー銭湯に行ってきた。
温泉につかってのんびりして、最後にサウナへ。
ぼんやりと汗を流して、さてそろそろ上がろうかという時に。
60代くらいと思われるおっちゃんが、入ってきた。
手に、なにやらタッパのような容器を持っていた。
そのおっちゃん、腰を落ち着けると、やおら話しかけてきた。
「塩、使うかい?」
「・・・?」
なんだ突然。
「ほら、塩」
容器の中身は、ぎっしりと詰まった塩。
なんて量だ。
「知らんのか?全身に塗るんだ、塩を。汗がすぐ出てくるのさ。ほら、書いてあるだろ?」
俺の戸惑いなど知らぬ気に、壁を指さすおっちゃん。
あいにく俺は裸眼なので全く字など読めない。
「すみません、眼鏡無いんでちょっと読めなくて・・・」
「そっかそっか、なんだ老眼か?ん?あ、老眼は俺か、がっはっは」
いやに陽気なおっちゃんだ。
しきりに勧めてくるのを拒絶するのも悪いので、少しだけもらうことにした、が。
「そんなちょびっとじゃなくて、ほらもっとたくさん取りな。遠慮しないでさ」
おっちゃん、容赦ないな。
いや実は、前日に指を怪我していて、皮を少し剥がしていて。
その手で全身に塩をすり込むと、当然・・・。
いて。
いてえ。本気でいてえ。
予想通りの激痛。
どうにか表情を殺して痛みに耐えていると、そこへ新たな客人がサウナ入室。
まだ若いにいちゃんだ。
おっちゃんは当然のように、にいちゃんにも塩を勧めはじめた。
戸惑うにいちゃんだが、お構いなし。
押し切られたにいちゃんは、塩を手にする。
「ほらほらもっとたくさん取りなって。たくさんあるんだからさ。俺は金持ちじゃないけど塩くらい買えるからよ、がっはっは」
「すいません、ちょっと今傷があって痛いので・・・」
お。
ホントかどうかは知らないが、にいちゃんがこの理由を出してブロック。
「そっかそっか。でもよ、海水浴とか行っても、初めは痛いけどすぐに慣れるよな。がっはっは」
作戦失敗の模様。
おっちゃんの目がにいちゃんに向いてる隙に、俺は戦線離脱することにした。
「すみません、お先に失礼します~」
すまぬにいちゃん。
お相手は任せた。