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中国から帰り、北海道に暮らしつつ、台湾とつながる生活。

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いざ、情報発信~!

ときどき行く外食場所の一つに、ある定食屋がある。

それほど高くなく、ご飯も味噌汁もおかわり自由なので、とにかくたっぷり食いたいときなんかに、ときどき行く。


さてつい先日。

晩メシに、その定食屋に入った。

いつもそれなりに人は入っている。

それほど広いともいえない店内には、カウンター席と、テーブル席がたしか四つほど。

俺はいつも一人で行くから大抵カウンター席に座るのだが、この日はカウンターが満席だったので、テーブル席についた。

向かい側に座っていた二人組はちょうど食べ終わったところのようで、俺と入れ替わりのように出て行った。

俺は豚汁定食を注文し、ぼんやりとテレビを眺める。

で、何分後かに定食がやってきた。

それとほぼ同時に、空いていた向かい側の席に、3人組がやってきた。

30代くらいに見える男女と、50代くらいの女性。

さしずめ、若夫婦とそのどちらかの母親、という組合せだろう。


そして、聞こえてくる会話の声を聞くと、どうやらこの3人、台湾だか中国だかの人のようだ。

あまり静かとはいえない店内だから会話の内容を聞き取るのは難しい――というか、それほど真剣に聞き耳を立てるような状況でもない。

とはいえ目の前の席だし、俺も食うこと以外にすることがあるわけでもないから、なんとなく意識はその3人組に。


どうやらこの3人、旅行者と見た。

誰も日本語を話せない。

幸いというか、この店のメニューは写真付なので、注文することは不可能ではないようで。

店員に、メニューの写真を見せて指さしながら、

「This 、 One。」

と、やっているわけだ。


どうにかこうにか、注文は無事に終了した。

そこに何の問題もない。

が。

その台湾人(たぶん)をぼんやり観察してると、やっぱり何か、店員に聞いてみたいけど言葉がわからないからいいや――という様子が見て取れる。

そんな感じが読めると、こちらとしては考えてしまう。

現実として、俺が口出しすれば、この場の意思疎通は可能になる。

だが、そんなことをしていいものか、どうか。

微妙なところである。

ホントに困っているようなら助けに入ればいいのだが、それほどの状況でもない。

世の中にはありがた迷惑ということもある。

さて・・・。


逡巡してるうちに、3人組の料理もやってきた。

一人が日替わり、一人がチキンカツ、そしてもう一人がすき焼き定食。


そのすき焼き定食を頼んだ人。

頼んでおいて、すき焼きというものの食べ方を知らないようだった。

というよりも、小鉢に入っている生卵の存在に、首をひねっている。

「このタマゴ、どうするのかなぁ?」

「さあ・・・鍋に入れるんじゃないの?」

などと、隣の人と話している。

俺は、再び迷う。

ここは、口を出すところなんだろうか。

「その卵はかき混ぜておいて、肉とか野菜とかをそれにつけて食べるんですよ」

と、えらそうに解説するべきなんだろうか。

だが、やっぱりなにか抵抗がある。

いっそ尋ねられれば簡単に答えられるのだが、言葉も通じない(と思っている)人に質問するはずもない。

決めかねてる俺をよそに、その人はあっさりと卵をすき焼き鍋の中に流し込んだ。

うーむ。

・・・まあこれはこれで、悪くない食べ方かもしれないが・・・。


先に食い終わった俺は、さっさと店を出た。

結局、どう行動するのがよかったんだろう。


わからない。